ワークフロー
公開 2021.08.24
更新 2025.09.16

内部統制を強化! ワークフロー活用のメリット・導入事例を紹介

ワークフローシステムは、社内に散らばりがちな業務プロセスを整理し、業務効率化を促進するだけでなく、企業の内部統制強化にも大きく貢献します。特に2008年度から義務付けられている内部統制報告制度によって、株式上場企業には内部統制に関する報告が求められており、その重要性は増すばかりです。

この記事では、ワークフローシステムが内部統制にもたらす具体的な効果、そしてなぜワークフローシステムが内部統制強化に不可欠なのかを詳しく解説します。

内部統制とは

内部統制とは、企業が事業目標を達成するために必要なルールや仕組みを整理して、法令遵守や資産の保全を常に意識しながら適切に運用することです。

内部統制の必要性

内部統制によって保証されるべき主要な目的は、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守、そして資産の保全の四点です。

これらの目的達成のため、内部統制は統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング (監視活動) 、 IT (情報技術) への対応という6つの基本的要素から構成されます。この枠組みは、日本版SOX法とも称される 「金融商品取引法」 に基づく内部統制報告制度、通称J-SOX法において企業に求められる報告の基盤となっており、上場企業は特にこの法的要請に応える形で内部統制の整備 ・ 運用が求められています。

内部統制で保証されるべき4つの軸

  • 業務の有効性及び効率性
  • 財務報告の信頼性
  • 事業活動に関わる法令等の遵守
  • 資産の保全

内部統制の基本的要素

  • 統制環境
  • リスクの評価と対応
  • 統制活動
  • 情報と伝達
  • モニタリング (監視活動)
  • IT (情報技術) への対応

参考 : 金融庁 企業会計審議会 第15 回内部統制部会 資料 1-1

裏を返せば、内部統制が行われていない企業は次のようなリスクが発生すると考えられます。

  • 業務の進め方が非効率的
  • コンプライアンスが守られず、法令違反や社会倫理からそれた事業運営を行う
  • 不正が横行し、財務報告書の改ざんが当たり前になり、社内外からの信用を失う

など

法令等で決められているから内部統制を行うのではなく、事業運営を正しく、有効的に進めるために必要なものととらえると良いでしょう。

なぜ今、内部統制の強化が不可欠なのか : 潜在するリスクとコンプライアンスの課題

内部統制は、株式上場企業の審査基準の一つであり、企業が事業内容を適切かつ合理的、さらに高い信頼性をもって運用しているかを外部に示す上で不可欠な要素です。J-SOX 法によって内部統制報告書が義務化されている企業であるか否かにかかわらず、企業の透明性を高め、社会的な信用を維持するためには内部統制が欠かせません。

もし内部統制が適切に行われていない場合、企業は様々なリスクに直面します。例えば、業務の進め方が非効率になり、資源の無駄遣いが発生する可能性があります。

また、コンプライアンスが軽視され、法令違反や社会倫理から逸脱した事業運営が行われる事態も起こり得ます。さらに、不正が横行し、財務報告書の改ざんが常態化すれば、社内外からの信用を完全に失いかねません。

内部統制は、単に法令で定められているから行うものと捉えるのではなく、事業運営を公正かつ有効的に推進し、持続的な成長を実現するために必要不可欠なものとして認識することが重要です。

ワークフローシステムが内部統制強化にもたらす具体的なメリット

内部統制に取り組む際、ワークフローシステムを導入することは多岐にわたるメリットをもたらします。

ワークフローシステムとは、これまで紙媒体でやり取りされていた一連の業務プロセスを定型化し、電子化できるシステムのことです。このシステムを活用することでペーパーレス化が促進されるだけでなく、次の挙げる幾つかの観点から内部統制を強力に推進することが可能になります。

業務内容 ・ 財政状況 ・ 社内ルールの可視化

ワークフローシステムを導入すると、社内の業務プロセスや部門ごとの財務状況まで詳細に可視化できるため、内部統制の促進に非常に効果的です。

日常業務のワークフローから、社内外の契約関係のワークフロー、さらには社内における部門間連携のタスクまで、すべてを一括管理できます。リアルタイムですべての取引状況が履歴として残り、 「誰がどの文書を用いて、いくらの取引を行っているか」 といった詳細な情報が可視化されるのです。

これにより事業の透明性が飛躍的に高まり、内部統制における 「業務の有効性 ・ 効率性」 の観点だけでなく、企業全体のガバナンス強化にも大きく寄与します。

申請 ・ 承認のログが残り、改ざんや不正の防止ができる

ワークフローシステムは、 「誰がいつ」 「何の書類に対し」 「どのような対応(申請や承認など)」 をしたのか、その全ての記録を詳細に残します。

これにより、業務プロセスの監視が格段に容易になります。ワークフローシステムが導入されていない環境では、書類がどこで滞留しているのか、誰が承認アクションを行ったのかが不透明になりがちです。しかし、システム上では全ての修正履歴ややり取りが記録される上、書類データそのものも安全に保管されるため、内部統制を大きく強化できます。

また、これにより改ざんや不正が発生しにくい環境を構築し、抑止効果を高めることが可能となるのです。例えば、紙の書類を複製して不正な内容を記入した場合、証拠が残りづらいですが、ワークフローシステム内で書類を複製したり、内容を変更したりすると時系列で記録が残ります。そのため、誰かが改ざん目的でデータ書き換えをしても、ログをたどることが可能です。

改ざんや不正の抑止効果があるため、内部統制のためにもワークフローシステムの導入は必須といえます。

電子決裁の導入による業務ミス削減と承認プロセスの効率化

ワークフローシステムを活用し、電子決裁を導入することは、社員の属人的なミスを大幅に削減し、様々なタスクの効率化を期待できます。人的なミスを減らし、健全な事業運営が可能となることで、監査時の対応もよりスムーズに進むでしょう。

ワークフローシステムがない場合、タスク管理やミスの確認は個々の社員に依存してしまいがちです。しかし、システムがあれば対応不備が多い社員を特定することも可能となり、ミスが多い社員にはアラートを出すなど、改善を促すための具体的な対策を講じることができます。これにより、承認プロセス全体が効率化され、企業全体の生産性向上にも繋がります。

ペーパーレス化の推進と情報管理の最適化

ワークフローシステムは、紙ベースの業務を電子化することでペーパーレス化を強力に推進します。申請書や稟議書、契約書といった各種文書がデータとしてシステム上に集約されるため、物理的な書類の保管場所が不要になります。これにより、文書の検索や管理が格段に効率化され、必要な情報に素早くアクセスできるようになります。

また、紙媒体に比べて紛失や破損のリスクが低減され、情報セキュリティの観点からもメリットは大きいと言えます。ペーパーレス化は単なるコスト削減だけでなく、情報管理の最適化と環境負荷の低減にも貢献し、企業の DX 推進の一環として内部統制を支える重要な要素となります。

内部統制強化を実現するワークフローシステム選定のポイント

健全な事業運営を維持し、内部統制を効果的に推進するためには、ワークフローシステムの導入が不可欠です。しかし、数多く存在するシステムの中から自社に最適なものを選ぶためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。

クラウド型ワークフローシステム (SaaS) の利点と選び方

近年、クラウド型ワークフローシステム、特に SaaS (Software as a Service) 形式の提供が主流となっています。

これらのシステムは、自社でのサーバー構築やメンテナンスが不要なため、導入コストを抑えられ、短期間で運用を開始できるという大きな利点があります。また、インターネット環境さえあればどこからでもアクセスできるため、リモートワークや多拠点展開している企業にとっても非常に有効です。

システムを選ぶ際には、まず自社の既存業務プロセスをどこまで電子化できるか、柔軟な経路設定が可能かを確認しましょう。承認ルートの複雑性や、複数の部署をまたがる申請など、自社の業務に合わせたカスタマイズ性が重要です。

また、既存の会計システムや人事システムなど、他の基幹システムとの連携性も確認することで、さらなる業務効率化が期待できます。セキュリティ対策も非常に重要であり、データの暗号化、アクセス権限の管理、定期的なバックアップ体制などが十分に整っているかを確認すべきです。

自社に合ったシステム選びで失敗しないための注意点

ワークフローシステム導入で失敗しないためには、単に機能が豊富であることだけでなく、現場の使いやすさも重視する必要があります。

従業員が抵抗なく利用できる直感的なインターフェースであるか、スマートフォンやタブレットからの利用に対応しているかなども、導入後の定着率に大きく影響します。無料トライアル期間を利用して、実際に操作感を試してみるのも良いでしょう。

また、導入後のサポート体制も重要な選定基準です。トラブル発生時の迅速な対応や、運用中の疑問点に対する的確なアドバイスが受けられるベンダーを選ぶことで、安心してシステムを利用し続けることができます。

料金体系も初期費用だけでなく、月額利用料やオプション費用、ユーザー数に応じた課金体系などを総合的に比較検討し、コストパフォーマンスに優れた選択を心がけることが求められます。

rakumo ワークフローによる内部統制強化の実践事例と機能詳細

内部統制を強化し、健全な事業運営を行うためには、機能性と使いやすさを兼ね備えたワークフローシステムが欠かせません。

ここでは、Google Workspace との連携性に優れる rakumo ワークフロー に焦点を当て、その具体的な機能と内部統制強化に繋がった導入事例をご紹介します。

rakumo ワークフローの機能

rakumo ワークフローは、その柔軟な経路ステップ設定が大きな特徴です。承認、却下、差し戻しといった基本的なアクションに加え、第三者の回覧ステップの追加、経路の変更、さらには代理申請など、非常に自由度の高い設定が可能です。

この柔軟性がありながらも、権限設定を企業自身で細かく管理できるため、不正な承認や不適切なプロセスを未然に防ぐことができ、内部統制の強化に直結します。

また、申請書類のZIP形式一括ダウンロードは、監査対応において非常に大きなメリットをもたらします。紙で文書を保管する場合、監査時にはキャビネットから一枚一枚書類を探し出す手間が発生しますが、rakumo ワークフロー上で文書管理を行えば、必要な書類を効率的に抽出・提出できるため、監査プロセスをスムーズに進めることが可能です。

内部統制強化の事例 : 株式会社識学

rakumo ワークフロー を導入し、実際に内部統制の推進に成功した企業事例として、株式会社識学のケースが挙げられます。

識学様は、rakumo ワークフロー 導入後にマザーズ上場を果たしました。上場時の内部監査では、「承認時期と実行時期の差異、その事案の特性や金額での承認フロー・承認基準の適切性等」が確認されたそうです。しかし、上場前からrakumo ワークフロー を導入し、業務プロセスを電子化・可視化していたため、監査時に慌てることなく過去のデータを効率的に収集し、提出することができました。

この事例は、内部統制が上場後に突然必要となるものではなく、むしろ上場前の小規模な組織体制の段階から計画的に取り組むべきであることを明確に示しています。ワークフローシステムの早期導入が、企業の成長フェーズにおけるガバナンス体制構築の基盤となることを証明する貴重な実践例と言えるでしょう。

株式会社識学様
https://rakumo.com/casestudy/shikigaku/

まとめ : ワークフローシステムで盤石な内部統制と持続的な企業成長を

事業効率性を高め、社内外への財務・経営状況の透明性を伝える要素である内部統制には、ワークフローシステムの活用が必要です。ワークフローシステムは、これまで属人化しがちだった業務プロセスを定型化し、取引をスムーズにするという直接的なメリットに加え、詳細な権限設定やモニタリング機能を通じて、内部統制の強化を強力に支援します。

正確な記録、改ざん防止機能、そして監査対応のスムーズ化は、企業のリスク管理体制を盤石なものにし、ガバナンス向上に貢献します。企業の持続的な成長と信頼性確保のためにも、ワークフローシステムの導入は戦略的な経営判断と言えるでしょう。特にGoogle Workspaceとの連携性に優れた rakumo ワークフロー は、導入のしやすさと高い利便性から、内部統制強化を目指す企業にとって強力な選択肢となるはずです。

プロセス可視化
承認作業
業務効率化
脱属人化
見える化

関連記事の一覧