勤怠管理
公開 2020.12.11

勤怠管理の目的・方法を解説!事業者の義務である労働時間管理をスムーズに

人事や総務の方にとって、勤怠管理は普段関わることの多い業務です。
本記事では、勤怠管理の役割や方法など、事業主や人事労務担当者がおさえておくべき勤怠管理の基礎知識についてご紹介します。

勤怠管理とは

そもそも勤怠管理とは、使用者が労働者の勤務時間や休暇取得状況など、就業状況を正しく管理することを指します。
従業員全員の始業時間や就業時間をもれなく記録し、勤務時間を管理するだけでなく、有給の取得や欠勤、遅刻等も正しく管理する必要があります。

労働時間の適正な把握は事業者の義務

使用者である企業は、従業員の労働時間を適正に把握する義務があります。労働時間は原則として、週40時間・1日あたり8時間まで(法定労働時間)と決められているので、企業は個々の従業員の労働時間を正確に記録して、帳簿に保存しなければなりません。

企業が記録を義務付けられているものとして、出勤簿と賃金台帳、労働者名簿の3つがあります。この3つは法定三帳簿と呼ばれ、帳簿をつけたら必ず3年間は保存しなければならないと労働基準法の第108条に定められています。

勤怠管理の対象となる従業員は、労働基準法41条に定める管理監督者や、みなし労働時間制が適用される労働者(従業員)を除いてすべての者です。使用者である企業は、労働時間を適切に把握するために次のポイントをおさえておきましょう。

  • 労働者について、労働日ごとに始業・終業時刻を適正に記録する。記録の際は、ICカードやタイムカード、PC使用時間の記録など、客観的な記録をもとに確認する必要がある。
  • やむをえず労働者の自己申告になる場合は、自己申告制のガイドラインを用いて十分な説明のもとに運用が必要。
  • 自己申告制で労働時間を管理する際は、労働者が自己申告した時間とPCの使用時間などに剥離があったとき、必ず実態を確認すること。
  • 自己申告ができる時間数の上限を決めるなど、適正な自己申告を阻害するようなルールを設けてはならない。

勤怠管理は正しい給与計算のためでもある

勤怠管理を行うことは、正しい時間数で給与計算を行うことにもつながります。
勤怠管理の際は、出勤簿とあわせて賃金台帳を作成・保存しますが、この賃金台帳には従業員の労働時間数・休日労働時間数・時間外労働時間数・深夜労働時間数など詳細を記録していきます。

これらの項目を従業員ごとに適正に管理していくことで、給与や賞与の支払いミス、税金支払い漏れや不正を防ぎ、安全に事業活動を行うことができるのです。

勤怠管理はコンプライアンスにもつながる

勤怠管理は労働基準法で定められたルールです。法律を無視してサービス残業を従業員に無理強いさせたり、虚偽の労働時間を記録して税金を逃れようとしたりするブラック企業があとを絶ちません。

勤怠管理を正しく行うことは、企業がコンプライアンス(法令順守)意識を持ち、健全に事業運営している証にもなります。

万が一、不適切な勤怠管理が指摘されトラブルが起きれば、企業に罰則が与えられ社名公開となる場合もあります。
これらのリスクを防ぐためにも、コンプライアンスを守りながら勤怠管理を実施することが重要です。

勤怠管理は働き方改革でも重要視されているテーマ

2018年6月に法案が成立した「働き方改革」の中で、数多くの労働時間に対する施策が打たれています。労働時間に対する施策を確実に実行するためにも、各企業が正しく勤怠管理を行う必要があります。

なお、働き方改革は、少子高齢化が深刻な日本での雇用問題を抜本的に見直し、個々の労働者が柔軟な働き方を選択できるようにするための法案です。

働き方改革の中で、勤怠管理に関わる施策は次の通りです。

  • フレックスタイム制の精算期間が1か月から3か月に延長
  • 時間外労働の上限規制
  • 年5日間の有給休暇義務化
  • 月60時間を超える時間外労働の割増賃金率のアップ

フレックスタイム制の精算期間が拡充されれば、従業員の生活に合わせて1日の働き方を選べるようになる一方、決められた期間内で確実に総労働時間を精算してもらうよう勤怠管理が必要となります。
時間外労働に関しては、従来の法律のままだと上限規制がゆるかったため、働き方改革法案にて規制が明確に設けられました。そのため、企業側はより注意して1人ひとりの時間外労働をチェックしなくてはなりません。

そのほかにも、年次有給休暇を1年毎に必ず消化させる施策や、時間外労働が多すぎる職場には割増賃金率を高く設定するなど、数々の施策が順次導入されていきます。

これらすべてが従業員の労働時間・日数の管理に関わることなので、企業は勤怠管理の方法を見直して、慎重に取り組まなければなりません。
各法案の施策開始タイミングは、大企業と中小企業でスケジュールが異なるため、必ず厚生労働省などの情報を確認するようにしてください。

参考 : 厚生労働省「働き方改革関連法のあらまし」
https://www.mhlw.go.jp/content/000611834.pdf

【初めて勤怠管理をする人必見】勤怠管理の基本的な方法

初めて勤怠管理を行う方に向けて、勤怠管理の基本的な方法を解説します。

まず、勤怠管理では次の項目を管理します。

  • 労働日ごとの始業、終業時刻
  • 労働日ごとに休憩開始時間、休憩終了時間
  • 時間外労働時間、深夜労働時間、休日労働時間
  • 1か月単位で出勤日、欠勤日、休日出勤日
  • 年次有給休暇の残日数、取得日数、半休取得時間数

先の章で説明した通り、働き方改革などの法改正が定期的に行われています。法改正があった場合は、自社がいつから新しいルールに適用となるのか確認をして、その都度勤怠管理の項目に抜け漏れがないか確認をすることが重要です。

たとえば、年次有給休暇5日取得の義務化がされる前までは、従業員の有給休暇取得の状況を細かくチェックしていなかった企業も少なくないでしょう。

「自分の会社はやらなくて大丈夫」と甘く見ずに、必ず最新情報を確認しながら勤怠管理を行いましょう。

続けて、どのような方法でこれらの項目を管理していくか解説します。

Excel で管理

PCソフトの Excel 上で、従業員ごとの始業・終業時刻などを手入力し管理する方法です。少人数の企業では Excel 管理を行う場合も少なくありませんが、手入力による入力ミス、上書きされるリスク、入力欄が多い点などがデメリットと言えます。

また、Excel で勤怠管理を行う場合は、入力ミスがあるかどうか目視で確認することが多くなります。管理が属人的になってしまうので、やや不安が残る方法と言えます。

タイムカードで管理

勤怠打刻機器に、紙のタイムカードを指し込んで勤怠時間を打刻する方法です。勤怠打刻機器はホームセンターなどで気軽に入手でき、カードを差し込むだけで正確な時間を記録できます。
数千円から購入ができるので、コストをおさえて即日導入できる点がメリットと言えます。

しかし、Web と連動していないタイプの勤怠打刻機器を選んでしまうと、PCにデータを移し替えたり、有給日数をリアルタイムで管理したりすることができず手間がかかります。
機械を選ぶ際は、紙面への打刻記録のみを行うものか、Web 連動をしているか確認してから選びましょう。

ICカードのタイムレコーダーで管理

タイムカードのように紙で管理するのではなく、ICチップが埋め込まれているタイムレコーダーで勤怠管理を行います。Suica のようにICカードをかざすだけで、勤怠管理を行うことができる点が魅力です。
ICカードのデータをPCに接続し、自動集計することができますが、ICカードを従業員ごとに購入する負担や、リモートワークでの勤怠管理には適さない点をおさえておきましょう。

最近では、ICカード以外にも従業員の指紋認証で勤怠打刻をする種類もあり、不正を防ぐこともできます。

出勤簿で管理

出勤簿とは、法律で企業に義務付けられた、労働者の労務管理を行うための帳簿です。出勤簿は紙でもWebでも問題ありませんが、Excel と同じく手入力する際にミスをしないよう、上書き不正をされないよう注意が必要になります。

出勤簿での勤怠管理では「今月の残業時間は何時間かな」「今、時間単位年休をどのくらい取得しているかな」といった細かいデータを取得しづらい点がデメリットになります。

可能な限り、勤怠管理は専門のシステムを活用して行う方がスムーズです。

勤怠管理システム(クラウド型とオンプレミス型)

Excel やタイムカード、出勤簿は基本的に手入力・手作業で労働時間を記録し管理する方法の他に、勤怠管理用のソフトを用いて勤怠管理を行う方法があります。勤怠管理システムにはクラウド型とオンプレミス型があり、クラウド型の勤怠管理システムはソフトのインストール不要で初期導入費が押さえやすい点が特徴となっています。

勤怠管理システムでは「〇月▲日の現時点で、今月の残業時間数と有給残日数、半休を取得した日数が知りたいな」というような、細かい勤怠についてもボタン1つで参照することができるため、Excel やタイムカードのように何度も計算するわずらわしさがありません。

また、勤怠管理システムと給与計算の経理システムを連動して利用すれば、企業の人事労務業務をワンストップで管理できるためメリットが大きいです。

勤怠管理の注意点

勤怠管理をする際、企業が注意すべきポイントについて解説します。

非正規雇用も含めて全従業員の勤怠管理が必要

まず、勤怠管理を行う対象者は、アルバイトやパート社員や契約社員含めすべての従業員になる点を覚えておきましょう。

アルバイト・パートなどの短時間労働者は、労働時間によって1人ひとりの社会保険の加入有無も異なるため、適正に勤怠時間を管理することが必要不可欠です。
適当に労働時間を管理していると、「労働時間が社会保険の適用要件に当てはまっているにも関わらず、社会保険の手続きを忘れていた!」というトラブルが発生するリスクがあります。

雇用形態ごと、従業員1人ひとりの勤怠管理を必ず行うことが重要です。

勤怠管理の不正

タイムカードやICカードで勤怠管理を行う場合、別の従業員にタイムカードを貸し借りして不正の打刻を行ってしまう可能性があります。また、本当は時間外労働の限度を超えているにも関わらず、従業員の上長が時間外労働を認めず、不正に短い勤務時間を記録するなどのトラブルも発生するリスクがあります。

これらの不正を防ぐためには、「本人以外は勤怠打刻ができないシステムにする」「勤怠管理システム上で複数の管理者をおいてチェックする」などの対策が必要です。

勤怠管理システムを導入すれば、これらの不正・リスクを防ぎやすいため、人事労務の負担を減らすことが可能です。

テレワーク従業員の勤怠管理

コロナウイルスの影響で、2020年度は多くの企業がテレワークを導入しました。
今まで出社前提で勤怠管理を行っていた企業にとっては、従業員が正しく勤怠をつけているのか不安になる場合もあるでしょう。

テレワークの従業員がいるときの勤怠管理は、基本的に自己申告で行うことになります。どうしても不正打刻が心配な企業は、始業・終業タイミングにオンラインで朝会、夕会などを実施して目視で出退勤を確認することも可能です。
ただし、極端に従業員を監視しすぎると、従業員のストレスが大きくなってしまうので注意が必要です。

また、テレワークを在宅で行う場合、周囲に人がいないために従業員が働きすぎてしまう可能性もあります。テレワーク中の従業員の長時間労働を防ぐためには、勤怠管理システムを用いて勤怠管理を徹底して行うとともに、退勤後は業務に関連するシステムにログインできないようにするなど、対策を行うと良いでしょう。

勤怠管理システムを導入するときの手順

本章では、適正な勤怠時間を管理する方法の1つであるクラウド型の勤怠管理システムを、どのような手順で導入すればいいか解説していきます。

まず、導入する勤怠管理システムのプランを決めて契約を行います。多くの勤怠管理システムで設けている、1~3か月の無料トライアル期間を活用するのも良いでしょう。

導入開始後、システムにログインをしたらまず初期設定を行います。従業員のプロフィールや就業規則、組織体系などさまざまな情報を入力することになります。

もともと Excel などで管理していた既存の勤怠管理データを新しい勤怠管理システムに移行する際は、社内の情報システム部と連携してミスなく設定を進めていくことがポイントです。

データ移行が終わりすべての設定が完了したら、従業員に日々の勤怠打刻の付け方を説明して、正しい利用を促します。

せっかくクラウド型の勤怠管理システムを導入しても、従業員が正しくシステムを使えなければ勤怠管理ができません。必ず、勤怠管理システムの使い方を従業員に漏れなく周知し、質問は誰が回答するか社内問い合わせ先を決めておくようにしてください。

rakumo キンタイの概要

クラウド型勤怠管理システムの導入をすすめる際は、rakumo キンタイがおすすめです。rakumo キンタイは、勤怠管理に必要な要素がまんべんなく盛り込まれているサービスです。

  • 勤怠打刻機能
  • 多様な勤務形態に対応
  • さまざまな休暇管理(年次有給休暇/振替休日や代休/特別休暇/半休・年休自動付与や一括付与など)
  • 各種申請業務(休日出勤申請/残業申請/休暇申請など)
  • アラート機能(36協定/有給休暇/残業時間/出退勤の打刻漏れなど)
  • ほかサービスとの連携(rakumo カレンダー/rakumo ワークフロー/rakumo ケイヒなど)

これまでにご説明した、時間外労働の管理や有給休暇義務化による年次有給休暇の取得状況など、細かく管理することが可能です。
年次有給休暇に関しては、年度が切り替わればrakumo キンタイの中で自動的に休暇の付与をしてくれるため、計算ミスをなくすことができます。

また、rakumo は勤怠管理のサービス以外にも、Google カレンダーを企業で使いやすいようリデザインしたrakumo カレンダーや、経費精算を行うrakumo ケイヒ、社内業務を効率化するためのrakumo ワークフローなどさまざまな管理系サービスが用意されています。

どのサービスも、Google Workspace(旧 G Suite)や Slack などの業務アプリケーションと連携しているため、従業員にとっても使いやすい点がメリットです。

勤怠管理は使用者の義務と受け止め適正に管理しよう

勤怠管理は、労働基準法で定められた使用者である企業の義務であり、事業を適正に運営する上で必要不可欠なものです。
勤怠管理を行うときは、従業員ごとの始業・終業時刻の管理だけではなく、休日出勤日数や年次有給休暇、残業時間などさまざまな項目を細かく記録し保存する義務があります。

最近では、ICカードや勤怠打刻機よりも、SlackやQRコードで出退勤を記録したり、クラウド型の勤怠管理システムなどWebサービスを活用して、効率的に勤怠管理を行う企業が増えています。
rakumo キンタイのようにカレンダーワークフローシステムと連携している便利なサービスもあるため、ぜひ一度検討してみてください。

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