勤怠管理
公開 2020.12.25

休業と休暇ってどう違うの?「休み」の種類と勤怠管理・賃金について

「仕事を休む」ことについて、休業や休暇、法定休日や所定休日などさまざまな表現があります。

休業と休暇は労働基準法で明確な区別はされておらず、どちらも「もともと出勤日だった日の勤務を免除する」という意味を持ちます。しかし、一般的に育児休業や介護休業、年次有給休暇のように休日と休暇を使い分けて運用するケースが多いです。

一方、休日は「もともと出勤日ではなく労働する義務のない日」のことを指すため、休業や休暇と前提が異なる言葉です。

本記事では、休業と休暇、休日など違いと、勤怠や賃金の発生有無の関係について整理して解説します。

休業と休暇、休日と休職・欠勤の違いについて

まず、「仕事を休む」という意味を持つ、休業・休暇・休日・休職・欠勤などの言葉の違いをまとめて解説します。

休業と休暇の違い

休業と休暇は、労働基準法上では明確に区別がされていません。両者とも、所定労働日(労働義務のある日)に労働ができず、休むことを指します。
一般的に、休暇は1日単位で取得するもの、休業は「休暇」のうち連続して取得することという意味合いで使われています。

一方で、「休業・休暇」と休日は次のように使い分けされることが多いです。

休業と休暇/休日の違い

休業と休暇は、「もともと出勤日だった日の労働を免除する」という意味を持ちます。つまり、所定労働日に仕事を休むこと、と言う同じグループに分けられます。
一方、休日は「もとから出勤日ではない日に休む」という意味となります。つまり、「所定労働日ではなく労働が義務化されていない日」を休日と呼びます。

休日は「この日はあらかじめ労働しなくていいよ、お休みにしましょう」と定められた日なので、休日に年次有給休暇を取得することはできません。

休職や欠勤の違い

休職は、業務外の傷病や事故などが原因で働けない労働者に対して、労働契約関係は維持したまま、一定期間労働を禁止または免除することを言います。休職を制度として定める場合は、労働契約を結ぶ際に、休職に関する事項を明示しなくてはならないと、労働基準法第15条で定められています。

一方、欠勤は労働契約が定める労働義務があるにもかかわらず、労働をしなかった日のことを指します。「労働者が労働提供をせず休んだ」ことに対して幅広く使用される言葉です。

休職や休業・休暇などのように、使用者が正式に定めた日以外に、労働者本意で休むことを欠勤と呼ぶことが多いです。そのため、欠勤に対する給与支払いは原則として行われません(ノーワークノーペイ)。

ただし、産後休業のように労働者の請求を待たずして、強制的に休みを与える休業もあります。このように休職と休業はかなり似た性質を持つもので、労働基準法で明確に区別するよりも「私傷病休職」「懲戒休職」「育児休業」「介護休業」などの名称ごとに、就業規則や法律上の意味を確認しおさえると良いでしょう。

休業とは

ここからの章では、もう少し詳しく休業や休暇について解説していきます。

所定労働日(労働義務のある日)に、労働者本人の働く意思や能力があるにもかかわらず、労働ができない日のことを休業と呼びます。
産前産後休業や、育児休業、介護休業などの労働者側の理由で取得する休業だけでなく、天災事変や使用者(会社)側の原因で労働者を休業させるケースもあります。

  • 産前休業…労働基準法 65条1項
  • 産後休業…労働基準法 65条2項
  • 育児休業…労働基準法67条
  • 介護休業…育児・介護休業法 11条~15条

休業時の賃金支払い・給付金について

休業時の賃金支払いについては、休業の種類ごとに賃金発生や給付金の有無について定められています。

まず、「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合は、賃金の全額100%または、労働基準法に定められた平均賃金の60%を支払う必要があります。

正当な理由のない解雇など、使用者の故意・過失によって労働者が休業しなくてはならない場合は、使用者が労働者の賃金を100%支払わなければならないと民法536条2項で定められています。

その他の休業時の賃金支払いについては次の通りです。

  • 産前産後休業…産前・産後休業の期間中は、原則として1日あたり賃金の3分の2相当額が「出産手当金」として健康保険から支給されます。会社が賃金支払いをするかどうかは会社ごとに定められます。
  • 育児休業…原則、休業開始時賃金日額×支給日数×67%が6か月間支払われます。休業開始から6か月後は50%の支払いとなります。
  • 介護休業…要介護状態の家族について介護している場合、93日を限度に3回までに限り賃金月額の67%が介護休業給付金として支払われます。

休業補償と休業手当

使用者の責に帰すべき事由によって休業する場合に支払われるものを、休業手当と呼びます。休業手当は労働基準法第26条で決められた使用者の義務となります。

一方、休業補償とは、労働者災害補償保険法14条で定められた「休業補償給付」のことを指します。休業手当とはまったく別物であり、業務災害によって労働者が休業するときに労災保険から支払われるものと覚えておきましょう。

休暇とは

休業と同じく、所定労働日(労働義務のある日)に労働をせず休むことを指しますが、一般的には年次有給休暇など労働者が休暇を希望して労働義務を免除してもらう意味合いを持ちます。

休暇には、会社が必ず付与しなくてはいけない法定休暇と、会社ごとに就業規則などで定める法定外休暇(任意休暇や特別休暇とも呼ぶ)の2種類が存在します。

法定休暇

法定休暇とは、法律で定められている労働者が行使できる権利です。法定休暇には次の種類があります。

  • 年次有給休暇…労働基準法39条
  • 母性健康管理 のための休暇…男女雇用機会均等 法12条
  • 生理休暇…労働基準法68条
  • 子の看護休暇…育児・介護休業法 16条の2~16条の3
  • 介護休暇…育児・介護休業法 16条の5~16条の6

法定外休暇(任意休暇や特別休暇とも呼ぶ)

夏季休暇や年末年始休暇をはじめ、ボランティア休暇やバースデイ休暇、リフレッシュ休暇など、会社ごとに独自に定めた任意の休暇です。
労働者の心身の健康を維持するだけでなく、家庭生活や自発的な能力開発(自己啓発のための活動など)、地域活動への参加をするための時間など、労働時間をバランス良く保つ目的で導入されています。

  • 夏季休暇
  • 年末年始休暇
  • 慶弔休暇(結婚や忌引など)
  • 永年勤続休暇
  • 裁判員休暇 など多種多様

参考 : 厚生労働省「働き方・休み方ポータルサイト」

法定休日と所定休日について

労働基準法では、労働者に1日に8時間および1週間に40時間を超えて労働させてはいけないと定めています。また、毎週1日か、4週間のあいだに4日以上の休日を、労働者に与えなくてはならないと義務付けられているのです。

休日は、労働者の労働義務が免除される日のことで、「法定休日」と「所定休日」の2種類に分類されます。

どうしても、休日に労働させたい場合は、労働基準法36条により、休日出勤について定めた労使協定を結んでいる場合に限り、例外的に休日出勤が認められます。この労使協定は、一般に36協定(サブロク協定)と呼ばれます。

「法定休日」について

法定休日とは、労働基準法35条に基づき、労働者に与えるよう定められている最低限の休日です。基本的に、週ごとに1日以上または4週間を通じ4日以上の休日が必要です。

法定休日を与えなかった場合は休日付与義務違反にあたり、罰則規定が定められています。労働者が法定休日に出勤した場合は、通常の1.35倍の割増賃金を支払うことが必要です。

「所定休日」について

所定休日は、法定休日以外に会社が独自に設けた休日を指します。所定休日に出勤した場合には、1.35倍の割増賃金を支払う必要はありません。

たとえば、週休2日制で土日休み、法定休日は日曜日と設定している会社の場合、土曜日が所定休日に当たります。この場合、土曜日に出勤しても割増賃金を支払う必要はなく、日曜日の法定休日に出勤した場合のみ1.35倍の割増賃金を支払うことになります。

休みの種類と勤怠

休みの種類によって勤怠管理の方法が異なるため、注意が必要です。

基本的に、有給休暇やそのほか賃金が発生する休暇の場合は、勤務したものとして扱います。逆に給与が出ない休暇や休業の場合は、勤務していないものとして扱いましょう。

たとえば、欠勤した場合は勤務していないものとして扱う一方、会社で有給として定めている慶弔休暇を取得して休んだ場合は勤務扱いとします。

休みの種類と賃金支払い・勤怠管理のつながりを理解しよう

今回は、休業や休暇をはじめ、さまざまな休みの定義や賃金・給付金の支払いについて解説しました。労働基準法でどのように定められているか、各種休業・休暇制度がどのような給付金と紐づいているか、1つずつ整理しておくと良いでしょう。

休業・休暇と休日(法定休日と所定休日)の違いを最初に理解すれば、賃金が発生するかどうか見極めがしやすいです。

それぞれの休業・休暇制度の詳細や、勤怠管理の基礎知識については、次の関連記事をご確認ください。

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