勤怠管理
公開 2020.04.30
更新 2026.07.29

社内の残業が減らない!残業が減らない理由と残業を減らすシステムの作り方

多くの企業が「働き方改革」を掲げ、残業削減に取り組んでいます。しかし、経営層が「早く帰るように」と声をかけるだけでは、現場の状況は容易に変わりません。

残業の常態化は、社員の心身を疲弊させるだけでなく、企業にとっては人件費の増加、さらには法的リスクの増大という大きな経営課題となります。一向に残業が減らない背景には、個人の意識の問題だけでなく、組織のシステム自体に欠陥があるケースが少なくありません。

この記事では、残業が減らない真の理由を深掘りし、実効性のある「残業を減らす仕組み」の構築方法について解説します。

なぜ社員は残業をしてしまうのか?残業が減らない4つの根本的な理由

「残業をしないで」と呼びかけるだけでは、なかなか残業は減りません。

なぜなら、多くの社員が理由あって残業をしているからです。まずは、残業の理由をまとめていきます。

仕事量が多い

まず考えるべき要因は、純粋な仕事量の過多と「業務の属人化」です。

本人の処理能力に対して割り当てが不適切であったり、特定の社員にしか分からない業務が集中していたりすると、定時内での完結は物理的に不可能となります。

また、クライアントからの急な依頼を断れない文化や、業務の完了定義が曖昧なまま作業を続けてしまう「終わりなき労働」も、真面目な社員ほど陥りやすい罠と言えます。

残業が評価される雰囲気がある

2つ目の理由は、「残業を評価する」という組織文化や価値観が蔓延しているケースです。

「遅くまで残っている社員は頑張っている」という根性論的な価値観が残っている職場では、評価を気にして不要な残業をする社員が続出します。これは、仕事が速い人が先に帰ることで「やる気がない」と見なされる、不合理な同調圧力を生みます。

社員本人のスキルの問題

社員のスキル不足や業務とのミスマッチも無視できません。

適切な時間管理術が備わっていない、あるいは不慣れな業務を無理に担当させている場合、作業効率は著しく低下します。タイムマネジメントスキルが足りなかったり、そもそも意識していなかったりする社員もいます。

適材適所の人員配置がなされていないと、社員は慣れない業務に苦しみ続けます。苦手分野を無理やりやらされればモチベーションも上がりません。その結果、作業効率の低いまま、残業が常態化してしまうのです。

残業代が欲しい

最後に、いわゆる「生活型残業」を行っている社員についてです。

定時内に仕事を終わらせられるだけの能力は有していても、基本給が低く設定されている場合、残業代を前提に生活を設計している場合などでは、あえて効率を落として会社に残る動機を社員が持ってしまいます。

これを無理に禁止することは生活破綻を招く恐れがります。解決には、給与体系の見直しを含めた根本的な対策が求められます。

そもそも残業は社員個人の判断でやってはいけない

ここまで、社員が残業をする理由を挙げてきました。

ただ、大前提として残業とは個人の裁量で行うものではありません。以下、残業が発生するときの正しい流れを説明します。

残業には業務命令が必要

本来的に残業は企業側に命令権があります。上司が部下の仕事を見て、必要があると考えたときに命令を下します。命じられた部下は原則的に断れません。

ただ、理由のない命令は許されず、残業の根拠を示す必要があります。また、企業は残業をした社員に対して正当な時間外手当を支給しなくてはなりません。

逆を言えば、上司からの命令がない限り、部下に残業をする義務はないのです。多くの企業で発生している問題は、部下が自己判断で残業をするかどうか決めてしまっていることです。

その結果、残業代目当ての社員が好きなだけ残業をしてしまうなどの事例につながっています。こうした習慣が当たり前になってしまうと、企業と社員、双方にとって負担が大きくなります。

無断で残業した場合の残業代を払う必要は?

そもそも、上司に指示されたわけではない「無断残業」は正式な時間外労働に含まれません。そのため、企業からすれば残業代を支払う必要がない労働なのです。

特に、上司は帰るよう促していたにもかかわらず、部下が無理に居残っていた場合は労働時間として認められないルールです。残業を減らすには、この点を全社員で共有しておくことが大切です。

ただし、上司からの黙示的指示があった場合、残業代が発生することもあります。例えば、本人は帰りたがっていても「みんな働いているのに帰るのか」などの遠回しな圧力がかかっていたとすれば、残業の指示とみなされます。立場の強い人間の言動は直接的でなくても、残業の強制になってしまうことがありえるのです。

残業を黙認し続けるとどうなるか

社員の残業が当たり前の状態となっている企業は、早急に対策を練らなくてはなりません。

無策のまま経営を続けていると、結果的に企業がペナルティを受けることがあります。以下、残業の黙認がなぜいけないのかを解説していきます。

時間外労働の上限規制とは

残業についてのルールを定めた「時間外労働の上限規制」というものがあります。大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から適用されています。

この規制により、残業の上限は「1年で720時間以内、1カ月で100時間未満、2~6カ月平均で80時間以内」に変わりました。それまでも、社員に労働基準法を超える残業をさせるための36協定はあったものの、よりルールが厳格化された形です。

経営者は時間外労働の上限規制を知っておかないと、社員に違法な時間外労働を強いることになりかねません。もしも不正が発覚して社員に告発されたとき、未払いだった残業代をまとめて請求される事態もありえます。そうならないよう、残業時間の上限には常に敏感でいましょう。

なお、2023年4月からは中小企業においても、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が25%から50%へ引き上げられました。 これにより、長時間労働を放置することは直接的な労務コストの大幅な増大に直結します。

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36協定について詳しく知りたい方はこちらの記事もチェックしてみてください。

違反した場合はどうなる?

もし上限規制を無視して社員を働かせていると、企業に罰が科せられることもあります。

事業主は「「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」に処される可能性も出てきます。ただ、それ以上に痛手となるのは社会的信用の失墜です。労務問題は世間の関心が集まりやすいテーマであり、不当な労働を強いる企業への風当たりは強くなります。いわゆる「ブラック企業」はネット上で共有されることとなり、一度ついたイメージはなかなか払しょくできません。

社員に優しくない会社と評価された時点で、顧客や取引先が離れていくこともありえます。また、就職活動でも積極的に応募したい人が減ります。有能な人材が入社しなくなるので、長期的に見て企業力が先細っていくでしょう。

残業を減らすために人事労務の担当者ができること

具体的な施策がないと、常態化した残業は減りません。健全な労働環境を整えられるかは人事労務担当者の手腕にかかっています。

そこでここでは、人事労務担当者にできる取り組みを2つ紹介します。

ノー残業デーの導入

即効性のある対策として「ノー残業デー」があります。週に1日を目安として、残業を禁止する日を設定してしまう方法です。

その日は定時を迎えたら強制的に仕事を終えなくてななりません。実際にノー残業デーを始めてみると、社員は「定時で終わらせなくては」というプレッシャーから自分の仕事を見直すようになります。

就業時間中の無駄もなくなるので、かえって効率が良くなることも珍しくありません。そして、ノー残業デー以外の働き方も改善されていきます。

ただし、定時で帰っても持ち帰り業務が多くなったり、別の日が忙しくなったりするのは避けたいところです。人事労務担当者が中心となって「時間内に仕事を終わらせる重要性」を浸透させましょう。

残業申請のルール化と徹底

次に「残業申請のルール化」です。そもそも残業は上司からの命令、許可があってこそ行う労働です。自己判断を排除し、申請が承認されたときのみ残業をするルールを徹底していきます。その際、残業を認める基準が明確になっていれば、よりルールは共有されやすくなります。

人事労務担当者は、残業の申請書を用意しておきましょう。この書類は残業届とも呼びます。日時や理由を書き込んだうえで、上司の承認を得るまでのプロセスをつくっておけば無駄な残業は減っていきます。

それでも申請書を出さないサービス残業が発生するなら、労働条件そのものに問題があると見るべきです。仕事の割り当て、適性などを考え直し、様子を見ながら適材適所の人事を進めましょう。

rakumo キンタイなら残業申請ルールを徹底しやすい

残業を申請制にすることで、社員の無駄な時間外労働は減らせます。しかし、申請が社員の手間になってしまえば、いつの間にかルールは廃れかねません。逆にサービス残業が今までより増える可能性もあるので、手軽な申請機能を備えた勤怠管理システムの導入は必須です。

例えば、「rakumo キンタイ」であれば「時間外労働申請」というメニューで、時間と理由を求めることが可能です。また、管理者が残業の多い社員をチェックすることも可能です。苦手な業務を押しつけられていたり、残業代目当てに居残っていたりする社員を見極められます。

客観的な記録により、違法な長時間労働を未然に防ぎ、社員の労働環境を健全に保つことが可能です。

人事労務の担当者は残業を減らす仕組みづくりを

たとえ社員が自分の意思で残業をしていたとしても、労働時間の上限規制を超えると違法になります。

残業の多さは企業側の管理体制の問題として真剣に解決策を探らなくてはなりません。

残業を減らすには社員への教育はもちろん、的確なシステム作りが肝心です。人事労務担当者が中心となり、無駄な残業のない組織へと変えていきましょう。

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