社員の打刻忘れが多くて勤怠管理が不安!労働時間を正確に管理するには
打刻を忘れる社員が多くありませんか。また、打刻忘れはなくても、正確性に欠ける打刻が混じっているせいで、勤怠管理を適切に行えない場合もあるでしょう。どちらにせよ、そのまま放っておくと、大きな問題に発展するおそれがあるので注意しなければなりません。この記事では、このような状況を放置してはいけない理由を説明し、打刻忘れの対策や正確な勤怠管理に役立つ方法を紹介します。
そもそも打刻はなぜ重要か
出退勤の打刻について、方法は知っていても重要性を理解できてないケースが見受けられます。社員の勤怠管理に携わる立場なら、打刻の役割を十分に理解したうえで、適切な実施を推進していかなければなりません。前提として押さえておく必要があるのは、社員の出退勤を把握することは企業の義務であるという点です。そして、遅刻や休暇などの情報も含めて正しく把握していくには、そのための仕組みを職場に設ける必要があります。それこそが打刻であり、いつも適切に実施されることで初めて義務を果たせる状況になるのです。
また、企業が社員に支払う給与は労働時間をベースにして計算されます。単純に労働時間のトータルに単価を乗じるだけでなく、割増残業代なども算出しなければなりません。ですから、労働時間の詳細を知るために、正確な打刻による出退勤の記録が必要になります。このように、給与計算に関わることも打刻が重要である大きな理由です。
「正確な労働時間」の把握が義務化!
上述のとおり出退勤の記録は大切であり、企業はしっかりと遂行しなければなりません。正しく記録して労働時間を把握することは、義務化によって以前より重要性が増しています。違法行為を避けるためにも、以下に紹介する義務化の詳細を把握しておきましょう。
労働時間把握の義務化とは?
労働基準法が働き方改革により改正され、2019年4月に施行されました。この改正によって労働時間の把握が義務化されたのです。長時間の労働を防いで社員の健康を守ることや、安心して働ける職場環境を提供することなどが目的として挙げられています。改正前も労働時間の把握は求められていましたが、裁量労働制の適用労働者や管理監督者は対象外であるなど、徹底されたルールではありませんでした。改正後はそのような労働者も含める形で、労働時間の把握が厳格に義務付けられています。
それだけでなく、把握の方法にもルールが設けられました。タイムカードなどを利用して、客観的な記録によって把握していくことが原則となっています。さらに、賃金台帳を正しく記入しなければなりませんし、労働時間を記録した書類を3年間保管することも義務化されました。これに違反した企業は、30万円以下の罰金刑を受けるおそれがあるので注意しましょう。このような事情があるため、労働時間を正確に把握するスタンスを強めていく必要があります。
労働時間を把握していないと大変なことに
厳密には、労働時間を正確に把握していなくても罰則はありません。ただし、だからといって油断していると、ほかの理由で罰則を科される可能性があります。労働時間を正しく把握できていないと、社員に過度な長時間労働を強いる結果につながりやすいからです。それにより、改正された労働基準法の「時間外労働の上限規制」に抵触するケースが見受けられます。上限を超える時間外労働が発生すれば「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」を科されますし、気づかずに違反した場合も同様なので要注意です。
正確な勤怠管理によって、上記のような違法行為を回避しやすくなります。上限に近づいてきたことを見落とさずに済み、仕事の再配分などを行って時間外労働を減らせるからです。いい加減な勤怠管理には、違反を招きやすいという重大なデメリットがあるので気をつけましょう。
防止策を考える前に!そもそも打刻忘れに多い理由とは
正確な勤怠管理を実現したいなら社員の適切な打刻が欠かせません。打刻を忘れられてしまうと、出退勤の状況を正しく記録できなくなってしまいます。したがって、防止策を考えることが大事ですが、やみくもに進めるだけでは高い効果を得られない場合があります。まずは準備として、そもそも打刻忘れがなぜ起こるのか考えてみましょう。よくある理由として、出勤時や退勤時の行動に打刻が習慣化されていないことが挙げられます。また、打刻の方法が手間のかかるものである場合も、後回しにすることが多いので忘れやすいのです。
改善が見られない場合は、社員の認識が間違っている可能性もあります。打刻の重要性をわかっておらず、忘れても構わない作業だと思っているケースもあるのです。防止策を検討するときは、そのような心理面も十分に踏まえておく必要があります。
打刻忘れの防止方法
打刻忘れをなくすには、原因を解消するつもりで取り組まなければなりません。単純に注意をするだけでは、しばらくすると再発してしまうおそれがあるからです。以下に、打刻忘れを防止するための具体的な方法を紹介していきます。
正確な打刻の重要性を説明し社員の意識改革を促す
どれだけ担当者が打刻を重要だと考えていても、社員が軽視している状況では完全に防ぐのは困難です。そのため、まずは重要性を認識してもらうことがポイントになります。正しい給与計算に必要であることはもちろん、労働基準法の改正で労働時間の把握が義務化されたことなども説明しましょう。そうして、社員の意識をあらためさせるのと同時に、個人で可能なレベルの対策を行うように指導します。
たとえば、パソコンのアラーム機能やスマートフォンのリマインダー機能などを利用して、思い出せるようにすることも有効な手段です。注意喚起の付箋をパソコンに貼っておくだけでも効果を期待できます。また、打刻のタイミングについて正しく理解できているか確認することも大切です。出勤時や退勤時だけでなく、勤務中に私用外出する際の取り扱いなども周知しておきましょう。
部署の打刻を管理するリーダーの指名
社員ごとに対策をするよりも、部署やチームで取り組むほうが意識を浸透しやすくなります。それらの単位ごとに担当者を指名して、メンバーの打刻をまとめて確認してもらうといいでしょう。忘れている人がいれば、担当者は声かけをして、すみやかに対応させたり気をつけるように促したりします。確認や声かけの負担が大きいなら、担当者を当番制にするのもひとつの手です。この活動を継続的に行うことで、職場に打刻の習慣が定着していくことを見込めます。ただし、厳しく進め過ぎると、各社員が他人の出退勤まで意識するようになりかねません。監視し合うような状況になると、職場の雰囲気に悪影響が出やすいので注意しましょう。
社内に張り紙
打刻という言葉を見聞きする機会を増やすことも効果的です。それを手軽に実践できる方法として、社内に張り紙をすることが挙げられます。たとえば「最初に打刻」と書いて職場のドアに貼っておけば、出勤後すぐに行ってくれる社員が増えるでしょう。着替えに使うロッカーなど、いつも立ち寄る場所に貼ると忘れることを防ぎやすくなります。また「打刻なしでは給料を計算できません」などインパクトのある文言にして、注意を引きつけることも有効な手段です。ただし、これらの配慮をしても、貼りっぱなしだと次第に慣れてしまい、効果は薄まっていくのが一般的です。定期的に色柄や場所、文言などを変えて印象深くなるようにしましょう。
打刻の手間を最小限にして打刻しやすくする
スムーズに実施できることも、打刻忘れを防止する重要なポイントです。できるだけ手間を減らして、出勤時や退勤時の一連の作業に組み込んでおくと忘れにくくなります。打刻にタイムレコーダーを使っているなら、出入り口の目立つ場所に設置しましょう。必ず目につくというメリットがあるだけでなく、出入りをする際に自然な流れで打刻を済ませられるからです。複数のタイムレコーダーを用意しておくと、順番待ちの渋滞を緩和できるので、出退勤が集中するタイミングでも打刻しやすくなります。
また、パソコンの管理システムを使用しているなら、パソコンを立ち上げると自動的に起動する設定にしておくと効率的です。エクセルで作ったシステムの場合、ショートカットを作成するなどの工夫をして、記録用のファイルが入ったフォルダを開きやすくするといいでしょう。
意図的な不正打刻や打刻ができない事情についても考慮
打刻がされていないことを発見した場合、その社員が忘れたと決めつけるのは良くありません。たとえば、単なるミスではなく、意図的に不正をしたという可能性もあります。また、忘れていなくても、営業の直行直帰のように打刻できないケースがあることも考慮しましょう。この場合、仕方がない事情と解釈できますし、後日手書きで直すことなども必要な措置と言えます。
なお、働き方改革の推進により、テレワークを採用する企業が増えました。テレワークを導入する場合、職場で操作しなければならないタイムレコーダーでは管理しきれません。ほかにもさまざまな状況の変化を視野に入れ、勤怠管理の仕組みを見直していく必要があります。
勤怠管理システムの導入がおすすめ
確実に労働時間を把握できるようにするには、勤怠管理システムを導入するのが得策です。ここからは「rakumo キンタイ」を例として、なぜ効果的なのか具体的に解説していきます。
打刻忘れ防止・打刻の正当性の担保
「rakumo キンタイ」には、さまざまなアラート機能が備わっており、打刻忘れにも対応しています。たとえば、忘れてしまった場合に、メールで通知が届くように設定することも可能です。また、パソコンだけでなく、スマートフォンやICカードなど多様な手段で打刻できますし、どのような手段で行われたのか細かく記録されます。その記録により、打刻の正当性を確認しやすくなることもメリットのひとつです。
労務管理のコスト削減にも
「rakumo キンタイ」を使うと、打刻忘れを解消するだけでなく、労務管理の効率化によってコストを削減できます。たとえば、労働時間が自動で集計されるため、手計算を行う手間がかかりません。また、働きすぎている社員がいるとアラートで気づかせてくれるので、違法に該当する長時間労働を防ぎやすくなります。さらに、各社員の有給休暇の取得率を容易にチェックできることもポイントです。これにより「年次有給休暇の取得義務化」への対応をスムーズに行えます。
打刻を確実にする仕組みづくりを!
勤怠管理を行ううえで、社員の打刻忘れや打刻ミスを軽く考えてはいけません。見過ごしていると、刑罰を科せられるような大きなトラブルに発展するおそれがあります。そのような重要性を社員に周知して、意識を着実に改革していくことが重要です。さらに、最善の効果を得たいなら、打刻しやすい状況や打刻せざるを得ない仕組みを用意しましょう。