勤怠管理
公開 2020.04.30
更新 2026.07.29

36協定とは? 概要と違反をした場合の罰則について

「36協定(サブロク協定)」という言葉を聞いたことがあっても、その意味を正確に把握している人は少ないのではないでしょうか。働き方改革関連法の施行、そして2024年4月からの猶予事業(建設・運送・医師等)への上限規制全面適用により、企業や人事担当者は「知らなかった」では済まされない状況となっています。

この記事では、36協定の基礎知識から違反しないために必要なことなどについて解説します。

まずは確認!「法定時間外労働」とは

36協定を理解するうえで重要な「法定労働時間」と「法定時間外労働」について、まず最初に確認しておきましょう。

労働者を保護する目的で制定された労働基準法では、労働時間の上限は1日8時間かつ1週間で40時間以内と定められています。この労働時間の制限が「法定労働時間」です。また、1週間のうちに最低1日、4週間で4日以上の休日を付与することも義務付けられていて、こちらは「法定休日」と呼ばれています。

従って、1日8時間、1週40時間を超えて残業することや、1週間のうちに1日も休まずに出勤することが「法定時間外労働」となります。この法定時間外労働は、基本的には労働基準法違反です。企業が従業員に対して、法定時間外労働をさせることが禁止されているだけでなく、従業員が自らの意思で残業したとしても違法となってしまいます。

ただし、後述する36協定を労使間で結ぶことによって「法定時間外労働」が認められます。そのため、ほとんどの企業で36協定が結ばれ、1日8時間以上、1週40時間以上の労働が可能となっている状況です。

なお、「法定労働時間」と似た言葉で「所定労働時間」というものがあります。両者の違いを正しく認識していないと、労働基準法で規制される残業時間を正しく計算できないため理解しておくことが大切です。

その違いは「法定労働時間」が労働基準法で規定されたものである一方、「所定労働時間」は各企業で決められた労働時間であることです。労働基準法で規制される残業時間を計算するときは、1日8時間(法定労働時間)を基準として計算する必要があり、会社の残業時間ではないことに注意してください。

例えば、勤務時間が9時~17時で昼休みが1時間ある会社の場合を考えてみましょう。休憩時間は労働時間に含まれないため、1日の労働時間は7時間です。この会社で17時~19時まで延長して働くと残業時間は2時間になりますが、労働時間は合計9時間(7時間+残業2時間)なので「法定時間外労働」にあたる残業時間は1時間(9時間-8時間)になります。

関連記事

「所定労働時間」と「法定労働時間」の違いについては以下の記事もチェック。

36協定とは?なぜ全ての企業に締結が必要なのか

36協定とは、労働基準法第36条に基づく「時間外・休日労働に関する労使協定」の通称です。

従業員を1人でも雇用しており、かつ法定労働時間を超える残業や休日出勤が発生する可能性がある全ての事業所に締結と届出の義務があります。

「うちは残業がほとんどないから不要だ」と考えるのは危険です。突発的なトラブル対応や、従業員が自発的に行った残業であっても、客観的に見て法定労働時間を超えていれば、36協定なしでは即座に労働基準法違反となります。

そのため、リスクマネジメントの観点からは、全ての企業が事前に締結しておくべき必須の協定と言えます。

36協定を結んでも労働時間に制約はある?

法定労働時間を超えて労働を行うには、労使間で36協定を締結している必要がありますが、36協定を結んだからといって労働者の労働時間に制限がなくなるわけではありません。

ここでは、36協定と残業時間の制約について説明します。

限度時間があるが臨時的に超えることも可能

36協定を締結した場合でも、残業時間の上限は決められています。

一般的な労働者の場合は、1週間15時間、1カ月45時間、1年間360時間が上限です。変則的な労働時間で働いている1年単位の変形労働時間制の対象労働者の場合は、1週間14時間、1カ月42時間、1年間320時間が上限で、一般労働者よりも短く設定されています。

しかし、事業によっては季節的に忙しくなる時期があったり、どうしても作業が集中してしまう時期があったりして、一律的な上限の設定では経営が難しいケースも出てきます。また、不意に発生するトラブルに対処するために、残業時間の上限を超えてしまうケースもあるでしょう。

このような状況にも対応できるのが特別条項付き36協定です。特別条項付き36協定を締結しておけば、臨時的に36協定の時間外労働の上限を超えて残業することができるのです。

ただし、特別条項付きの36協定にも残業時間の上限があります。臨時的な時間外労働の上限は、1月100時間未満、1年720時間で、2~6カ月の平均は80時間以内でなければなりません。また、月45時間を超えることができるのは年6回までとなっています。

関連記事

残業時間が減らない……お悩みの方は以下の記事もチェックしてみてください。

限度時間が適用されない業務も

労働時間の制約は原則的にすべての労働者に適用されるものですが、業務の性質上、残業時間の上限が適応されない業務もあります。それは「新商品・新技術の研究開発」に携わる業務です。研究、開発、試験、検査などを行う業務で、コンピューターシステムの開発なども含まれています。

なお、働き方改革関連法の施行により、かつては上限規制の適用が猶予されていた「建設事業」「自動車運転の業務(ドライバー)」「医師」についても、2024年4月から上限規制が適用されています。具体的には「建設事業」は災害の復旧事業を除き上限規制がすべて適用され、「自動車運転の業務」は年間960時間が上限となりました。

36協定に違反したり届け出なかったらどうなる?

では、36協定を結ばずに残業させたり、結んでいても上限時間を超えたりした場合にはどうなるのでしょうか。

ここでは、労働基準法に違反した場合の罰則や影響について説明します。

罰則

労使間で36協定を締結していない場合、従業員が法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超える残業をしたり、法定休日(週に1回)をとらずに勤務したりすると、労働基準法違反となり、罰則の対象となります。

罰則は労働基準法の第119条で規定されており「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられます。罰則を受けるのは、常に労働者を使用する企業または事業主です。企業側で法定労働時間を超えないように努めていても、従業員が勝手にした残業や休日出勤で、法定労働時間を超えてしまうケースも考えられるので注意が必要です。

次に、36協定や条件付き36協定を締結していても、それぞれの上限時間を超えてしまった場合はどうなるのでしょうか。以前の労働基準法では、36協定の上限時間を超えても罰則はなく、条件付き36協定においては上限もありませんでした。しかし、働き方改革関連法の改正により罰則が規定され、強制力を持つようになりました。36協定や条件付き36協定の上限を超えた場合も同じく「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられるようになったのです。

なお、労働基準法に違反した場合、所轄の労働基準監督署から是正勧告を受けることになりますが、改善が認められなければ、より重たい罰則が科せられ、場合によっては刑事事件として書類送検される可能性もでてきます。従業員の残業時間は企業側でしっかりと管理して、不要な残業をさせないようにしなければなりません。

社会的に信頼を失う

36協定に違反した場合、労働基準法による罰則を受けるほかにも、企業として大きな打撃を受けることになります。

それは社会的な信頼を失ってしまうことです。労働基準法違反が明るみに出れば、企業に対しての悪いイメージが広まってしまいます。ブラック企業として悪評がネット上に拡散してしまうケースもあるでしょう。

そうなると、いくら実績がある企業だったとしても、新しい人材の確保は難しくなり、取引先の信頼も失ってしまいかねません。また、以前から不満を持っていた社員が、これを契機に大量に離職していくことも考えられます。いくら改善努力を行ったとしても、一度失った信頼を回復するのは困難です。

最悪の場合、業務を縮小せざるをえず、倒産の危機に追い込まれてしまう可能性もでてきます。このようなリスクを避けるためにも、企業側では労働基準法を遵守することが重要な課題となっているのです。

36協定を結ぶには?

36協定を締結して、法定労働時間を超える残業や休日出勤を可能とするには、労働基準法で定められた一定の手続きを行う必要があります。

ここからは36協定の締結方法やルールについて説明していきます。

従業員との間で締結する

36協定を締結するには、まず使用者と労働者(従業員)の代表との間で時間外労働についての取り決めを行います。

使用者とは、企業または事業所の代表者です。労働者の代表とは、管理職を除く全労働者の過半数を代表する人のことで、36協定を結ぶことを目的とした民主的な選挙や投票によって選出されることが条件です。全労働者の人数には、パートやアルバイトの人数も含まれますが、管理職の人数は含まれません。労働組組合がある場合は、労働組合が労働者の代表となります。

36協定で締結する内容は、時間外労働や休日出勤する必要がある際の具体的な理由、業務の種類、延長時間、有効期限などです。延長時間は時間外労働時間の上限が決まっているため、その範囲内でなければなりません。締結した内容は書面にて取り交わしておきます。

なお、36協定は企業単位ではなく、事業所単位(本店、支店、営業所など)で締結することが必要です。

労働基準監督署に届け出る

労使間で36協定を締結した後は、速やかに事業所を管轄する労働基準監督署長へ届け出る必要があります。たとえ企業と労働者の間で合意がなされていても、この届け出を行わなければ法定時間外労働は認められないため、実務上非常に重要なプロセスとなります。

届け出の方法は、労働基準監督署の窓口へ直接提出するほか、郵送やインターネットによる電子申請も利用可能です。書面で提出する場合は、提出用と控え用の計2部を作成しておきましょう。郵送を利用する際は、送付状と届出書類2部に加え、後日控えを受け取るための切手を貼った返信用封筒を必ず同封してください。

また、電子政府の総合窓口「e-Gov(イーガブ)」を通じた電子申請も普及しています。こちらを利用する場合は、電子証明書の取得やプログラムのインストールといった事前準備が必要になるため、あらかじめ「e-Gov電子申請システムのご利用ガイド」を確認しておくことが推奨されます。なお、2021年4月より36協定届への押印・署名は原則不要となっており、現在では利便性の高い電子申請(e-Gov)の活用が強く進められています。

雇用契約書や就業規則に盛り込む

36協定を雇用契約書や就業規則に盛り込むことも必要です。

36協定を締結して労働基準監督署長に届け出をしても、法定時間外労働が認められるには不十分なのです。さらに、労働者全員に36協定の内容を周知させておくことも必須条件になっています。

具体的な方法としては「目につきやすい場所に掲示する」「書面で労働者全員に配布する」「社内のポータルサイトに掲載する」「パソコンの共有フォルダに保存しておく」などの方法が挙げられます。

知らず知らずに違反しないために労働時間管理の徹底を

36協定を締結している場合でも残業時間には上限があり、これを超えると労働基準法違反として企業が罰則を受け、社会的信頼を失うリスクがあります。

そのため、企業には厳格な残業時間の管理が求められますが、実態としては労務管理が不十分なまま従業員が残業を重ね、意図せず違法な労働時間となってしまうケースも少なくありません。特に2024年4月の上限規制全面適用以降、労働基準監督署の調査では「客観的な記録(ログ)」に基づいた労働時間の把握が厳しくチェックされるようになっています。

このようなリスクを回避し、確実な労働時間把握を実現するためにおすすめしたいのが、勤怠管理ツール「rakumo キンタイ」の導入です。

rakumo キンタイ」は、フレックスタイム制や裁量労働制といった多様な勤務形態に柔軟に対応し、煩雑な手作業を効率化できるだけでなく、PCのログ取得機能によって客観的な労働時間を正確に記録します。また、長時間労働を未然に防ぐアラート機能を備えているため、残業超過の兆候をいち早く察知し、36協定違反を防ぐ体制を容易に構築することが可能です。

関連記事

労働時間把握の義務に関しては、こちらの記事もチェックしてみてください。

労働時間の確実な把握を!

働き方改革により、労働時間の順守は企業側に強く求められてきています。法律に則った経営をするために、従業員の労働時間管理はミスなく行わなければなりません。

労働時間を確実に把握するために、勤怠管理システムの導入を検討してみるのもいいでしょう。「rakumo キンタイ」なら無料トライアルも用意されています。興味のある人はぜひ一度試してみてください。

36協定
働き方改革
労働基準法
就業規則
法定労働時間

関連記事の一覧