ワークフロー
公開 2020.05.21
更新 2025.09.16

ワークフロー改善ってどうすればいいの? 必要性やポイントを紹介

業務効率化の鍵となるワークフロー改善は、現代ビジネスにおいて不可欠な要素です。しかし、 「具体的に何をどうすれば良いのか」 「どのようなメリットがあるのか」 といった疑問を抱いている方も少なくありません。

この記事では、ワークフローの基本的な知識から、改善の必要性、得られるメリット、さらには具体的な改善ポイント、そして会社全体にもたらすインパクトまでを詳細に解説します。

ワークフローとはそもそも何か?

ワークフローとは一連の作業の流れ、または作業の流れを定義して図式化したものを指しています。社内の各種申請、出張費の請求、報告書の提出、議事録の回覧などがワークフローにあたります。

例えば、備品を購入する際のワークフローは、 「社員が購買申請を書く」 → 「上司に提出する」 → 「上司が承認印を押して管理部門に渡す」 → 「管理部門が承認印を押して総務部員に渡す」 → 「総務部員が発注する」 という流れになるでしょう。

上記の例は申請から決裁 (最終承認) までのワークフローが一直線に進むため、比較的わかりやすいパターンです。しかし、大きな契約や稟議となれば、より多くの人数が関わり、条件によって部署や承認者が変わってくるなど、ワークフローも煩雑化してくるのが一般的です。

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ワークフローとは何かを基礎から知りたい方はこちらの記事をお読みください。

なぜワークフローを改善する必要があるのか?

では、なぜワークフローを改善する必要があるのでしょうか。

ここでは、ワークフローにありがちな具体的な問題点とその解消の重要性について掘り下げていきます。

ワークフローにありがちな問題

まず、ワークフローの中に潜みやすい問題点を上げておきましょう。紙の書類で運用する一般的なワークフローでありがちな問題点は4つあります。

1つ目は 「書類の問題」 です。申請する内容により書類が異なるため、どの書類を使用すればいいのかわからなかったり、必要な申請書が手元になくて、探すのに時間がかかったりするケースがあります。似たような申請であれば、書類を間違えるケースもあるでしょう。また、書類のフォーマットが古かった場合に、新しいフォーマットでやり直す手間もかかります。

2つ目は 「回覧の問題」 です。申請する内容によって担当部署や承認者が異なるため、どこに回せば良いのかわからなかったり、承認者を調べるのに時間がかかったりするケースもよくあります。回覧先の部署が別フロアや別拠点の場合は、回覧する手間も時間もかかるのが問題です。郵送やバイク便などで配送する場合はコストもかかってしまいます。

3つ目は 「承認者が不在で承認が滞る」 ケースが多いことです。承認者が出張や外出で社内にいない場合、あるいは、会議が長引いて席にいない場合などに、承認が滞ってしまい、無駄な待ち時間が発生してしまいます。

4つ目は 「記入ミスによる差し戻し」 です。申請書の記入漏れ、記入ミスといった単純なミスや、出張費 ・ 交通費の計算ミスがあると、承認されずに差し戻しとなってしまいます。差し戻しになると、始めからやり直さなければならない場合が多く、余計な手間と時間がかかってしまいます。

ワークフローの問題を解消する必要性

これらのワークフローの問題を放置しておくと、最終的に承認が完了するまでに不必要な手間や無駄な時間がかかってしまいます。個々の時間ロスは小さく見えても、それが積み重なることで、企業全体としては甚大な時間的損失につながります。

さらに、ワークフローにおける時間ロスは、ビジネスチャンスの損失にも直結しかねません。例えば、顧客に提出する見積もりの承認が遅れれば、商談のスピード感が失われ、契約に結びつく確率が低下する可能性があります。

このように、ワークフローが非効率なままであれば、現代のスピードが重視されるビジネス環境において、企業は競争から取り残されてしまうリスクを抱えることになります。そのため、これらの問題を解消し、ワークフローを最適化することは、企業の競争力維持 ・ 向上に不可欠なのです。

ワークフローを見直す際のポイント

ワークフローを効果的に改善するためには、現状のプロセスを詳細に分析し、問題点を特定することが重要です。

ここでは、ワークフローを見直す際にチェックすべき具体的なポイントと、その改善方法について解説します。

承認者とその人数は適切か

まず、ワークフローが完了するまでに必要な承認工程と、承認する部署や担当者、その人数が適切であるかどうかを見直しましょう。

承認工程が多すぎると完了するまでに時間がかかってしまい、承認できる人数が少ないと特定の人に承認作業が集中して、業務に支障が出てしまうでしょう。承認者が不在の場合にもワークフローが停滞してしまいます。

承認工程は必要最小限に絞り、各工程では業務の内容や状況に応じて、承認できる適切な人数を割り当てておく必要があります。また、 「本当にその人が確認と承認をする必要があるのか」 という視点からも見直しを行いましょう。

その部署や担当者の承認がなくても業務上支障がなければ、思い切ってカットすることも必要です。

二重チェックが起きていないか

次に、ワークフローの承認工程において、無駄な二重チェックが起きていないかをチェックします。ミスが許されない重要な業務では二重チェックは必要ですが、すべての業務に必要なわけではありません。

各工程で二重チェックを行っている場合は、本当にその作業が必要なのかどうか、二重チェックの目的と内容を明確にしておきましょう。

例えば、前の工程で確認した人と次の工程で確認した人が、同じ項目を同じ観点でチェックしていたとすると意味がありません。二重チェックは異なる観点でチェックすることで効果を発揮するものです。

この場合、承認工程ごとにチェックする項目を分けたり、チェックする観点を変えたりする必要があります。意味のない二重チェックは思い切って排除し、効率的な承認プロセスを目指しましょう。

多くの社員が間違える箇所はないか

現状のワークフローの中で、多くの社員が間違えている箇所がないかを調査することも重要なポイントです。間違えが起こりやすいポイントや原因を調べて改善できれば、差し戻しを減らして、スムーズに決裁を完了できるようになるでしょう。

例えば、書類の記入漏れや記入ミスが頻繁に起きている場合、記入漏れが多い項目には注意書きを加え、記入ミスが多い項目には記入例を載せてわかりやすくするなど、書類のフォーマットを改善します。また、複雑な計算が必要で計算ミスが発生しやすいのであれば、社内規定を見直して単純化するといった、根本的な施策も必要です。

停滞しがちなプロセスがないか

最後に、ワークフロー中に不必要な待ち時間が発生しやすい工程がないかを確認しましょう。

待ち時間が発生しやすい工程が特定されたら、その原因を究明し、改善策を講じる必要があります。原因が承認者の外出や出張が多く、承認作業が滞ることであれば、代理で承認できる担当者を増やすといった対策が考えられます。

その他に停滞が発生しやすいのは、複数の書類が揃わないと次の工程に進めないプロセスです。この場合、作業の順序を見直したり、ワークフローそのものを根本的に再設計したりすることで、待ち時間を削減できる可能性があります

また、ワークフローが一つの直線的な流れではなく、複数のプロセスに分岐するような複雑な構成も停滞が発生しやすくなります。処理が複雑化しやすく、ミスや差し戻しが起こりやすいため、結果として時間がかかる傾向にあります。可能な限りシンプルなワークフローに改善できないかを検討し、全体的な効率化を図ることが重要です。

ワークフロー改善に役立つ 「ワークフローシステム」

ワークフローを根本的に改善し、その効果を最大限に引き出すためには、ワークフローシステムの導入が非常に効果的です。

ここでは、ワークフローシステムの一般的な機能や、なぜそれが従来のワークフローが抱える問題を解消するのに役立つのかを解説します。

ワークフローシステムとは? 一般的な機能

ワークフローシステムとは、社内のワークフローをコンピューターシステムに組み込み、プロセスを自動化したものです。これにより、紙の書類は不要となり、パソコンやスマートフォン、タブレットなどのモバイル端末を利用してオンラインで業務処理を完結できるようになります。

ワークフローシステムの一般的な機能には、申請書の作成 ・ 提出、書類の回覧、承認、そして書類管理などが挙げられます。対応できる業務の種類は導入するシステムによって異なりますが、多くのシステムでは備品購入、利用許可申請、経費精算、労務管理 (休日取得、休日出勤、残業申請など) 、営業管理 (見積書、契約書など) 、会議議事録など、多岐にわたる業務に対応したテンプレートが豊富に用意されており、多くのシステムで自社のニーズに合わせてカスタマイズが可能です。

ワークフローシステムの具体的な利用方法は、導入するシステムによって多少異なりますが、一般的な操作手順は以下の通りです。

まず、ワークフローシステムを利用する際には、システムへのユーザー登録が必要です。この際、ユーザーの部署や権限 (一般社員、承認者など) をあらかじめ設定しておきます。

申請者は、パソコンやモバイル端末からワークフローシステムにログインします。申請書の作成は、業務メニューから必要な申請書を選択し、必須項目を入力するだけで完了します。 「提出」 操作を行うと、回覧先の部署や担当者が自動的に決定され、回覧もシステムが自動的に行います。

提出された申請書は 「申請一覧」 に表示されるため、申請者は自身の申請の進捗状況を簡単に確認できます。あとは決裁が完了するのを待つだけです。もし内容に不備があり差し戻しになった場合でも、システム上で修正して再度回覧することが可能です。

一方、承認者がワークフローシステムにログインすると、承認が必要な申請の一覧が表示されます。承認者は申請内容を確認し、問題がなければ 「承認」 操作を、問題がある場合は 「差し戻し」 や 「却下」 操作を行います。

「承認」 された場合、申請は自動的に次の回覧先へ転送され、最終承認者が 「承認」 することで決裁が完了します。このように、ワークフローシステムを導入すれば、申請から承認までの操作が、各端末上で簡単かつスムーズに行えるようになるのです。

なぜワークフローの問題解消に役立つのか

ワークフローシステムを導入することで、従来の紙媒体での業務処理と比較して、様々な顕著なメリットが得られます。これにより、従来のワークフローが抱えていた問題点の多くが解消されます。

第一に、時間の短縮が挙げられます。ワークフローシステムは申請と承認がオンライン上で完結するため、手間がかからずスムーズに決裁を完了できます。申請に必要な書類を探したり、フォーマットの新旧を気にしたりする必要がありません。

また、記入漏れや計算ミスなどはシステムが自動でチェックできるため、単純なミスによる差し戻しが大幅に減少します。さらに、書類の物理的な郵送が不要になり、異なる拠点にある部署間でも回覧にかかる時間はゼロになります。これにより、申請から決裁までの時間を劇的に短縮することが可能になります。

第二に、社外からの申請・承認が可能になる点です。特にクラウド型のシステムを導入すれば、承認者が出張中や外出中でも、インターネット環境があればどこからでも申請や承認操作を行えるようになります。

これにより、従来のワークフローのよくある問題である 「承認の停滞」 が解消されます。自宅からの申請も可能になるため、テレワーク環境にも柔軟に対応できます。

第三に、ワークフローの可視化が実現されます。承認工程の進捗状況が、パソコンやモバイル端末の画面上で簡単に確認できるようになるため、申請がいつ頃決裁されるのかを、いつでもどこでも確認できるようになります。

どの工程でワークフローが滞っているかを容易にチェックすることも可能です。ワークフローが可視化されることにより、次の作業を効率的に進める計画を立てやすくなります。

第四に、ペーパーレス化によるコスト削減です。紙の書類が不要になるため、紙代や印刷代を節約できます。複数の拠点にまたがるワークフローであっても、書類を郵送する必要がなくなるため郵送費もかかりません。

さらに、紙の書類を保管する物理的なスペースが不要になり、書類を整理する手間も省けます。このように、ペーパーレス化を推進することで、様々な面でコスト削減につながります。

ワークフローシステムが会社にもたらすインパクト

ワークフローシステムの導入が会社にもたらすのは、単なる事務作業の小さな効率化に留まりません。その影響は企業全体に及び、業務の属人化を防ぎ、ひいてはビジネスチャンスの創出へとつながります。

業務の属人化とは、特定の担当者しか作業手順やノウハウを把握していない状態を指します。このような属人化した業務が存在すると、担当者が病気で欠勤したり、退職したりした場合に、その業務が滞り、最悪の場合ストップしてしまうリスクがあります。

多くの企業では、属人化した作業が潜在的に多く存在し、問題が発生するまでその事実に気づかないケースも少なくありません。ワークフローシステムを導入し、すべての業務プロセスをシステム上で標準化 ・ 管理することで、これまで見えにくかった属人化された業務を発見し、解消へと導くことが可能になります。

そして、企業にとって最も大きなインパクトは、新たなビジネスチャンスの創出です。ワークフローシステムの導入によって、本当に必要な書類や承認フローが明確になり、業務全体の効率が飛躍的に向上します。

これにより、社員は煩雑な事務作業から解放され、本来注力すべきコア業務や創造的な仕事に集中できるようになります。結果として、会社全体の意思決定がスピードアップされ、その質も高まります。顧客への迅速な対応や、競合他社に先駆けた新規事業の立ち上げなど、より多くのビジネスチャンスを掴み、ライバル企業の一歩先を行くことが可能になるのです。

ワークフロー改善の大きな意味と、その推進

ここまで見てきたように、ワークフローを改善することは、単なる業務効率化に留まらず、ビジネスチャンスの拡大へとつながります。

ワークフローを改善し運用していくために、ワークフローシステムの導入を視野に入れてはいかがでしょうか。特にクラウド型のシステムであれば、導入にかかる手間やコストを抑えながら、上記の様々なメリットを享受することが可能です。

ワークフローシステムを導入し、業務プロセスを最適化することで、迅速な意思決定、生産性の向上、そして最終的には競争優位性を確立し、ビジネスチャンスを最大限に広げましょう。

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