ワークフロー
公開 2020.05.21

ワークフロー改善ってどうすればいいの?必要性やポイントを紹介

業務効率を上げるには「ワークフローの改善」が必要です。しかし、具体的に何をどうすれば良いのか、どのようなメリットがあるのかを理解していない人も多いでしょう。この記事ではワークフローの基礎知識や、改善の必要性とメリット、さらに、業務効率化のポイントや、会社にもたらすインパクトについて解説します。

ワークフローとはそもそも何か?

ワークフローとは一連の作業の流れ、または作業の流れを定義して図式化したものを指しています。社内の各種申請、出張費の請求、報告書の提出、議事録の回覧などがワークフローにあたります。たとえば、備品を購入する際のワークフローは、「社員が購買申請を書く」→「上司に提出する」→「上司が承認印を押して管理部門に渡す」→「管理部門が承認印を押して総務部員に渡す」→「総務部員が発注する」という流れになるでしょう。

上記の例は申請から決裁(最終承認)までのワークフローが一直線に進むため、比較的わかりやすいパターンです。しかし、大きな契約や稟議となれば、より多くの人数が関わり、条件によって部署や承認者が変わってくるなど、ワークフローも煩雑化してくるのが一般的です。

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なぜワークフローを改善する必要があるのか?

では、なぜワークフローを改善する必要があるのでしょうか。そもそもワークフローの改善点にはどのようなものがあるのかを、具体的に説明していきます。

ワークフローにありがちな問題

まず、ワークフローの中に潜みやすい問題点を上げておきましょう。紙の書類で運用する一般的なワークフローでありがちな問題点は4つあります。1つ目は「書類の問題」です。申請する内容により書類が異なるため、どの書類を使用すればいいのかわからなかったり、必要な申請書が手元になくて、探すのに時間がかかったりするケースがあります。似たような申請であれば、書類を間違えるケースもあるでしょう。また、書類のフォーマットが古かった場合に、新しいフォーマットでやり直す手間もかかります。

2つ目は「回覧の問題」です。申請する内容によって担当部署や承認者が異なるため、どこに回せば良いのかわからなかったり、承認者を調べるのに時間がかかったりするケースもよくあります。回覧先の部署が別フロアや別拠点の場合は、回覧する手間も時間もかかるのが問題です。郵送やバイク便などで配送する場合はコストもかかってしまいます。

3つ目は「承認者が不在で承認が滞る」ケースが多いことです。承認者が出張や外出で社内にいない場合、あるいは、会議が長引いて席にいない場合などに、承認が滞ってしまい、無駄な待ち時間が発生してしまいます。

4つ目は「記入ミスによる差し戻し」です。申請書の記入漏れ、記入ミスといった単純なミスや、出張費・交通費の計算ミスがあると、承認されずに差し戻しとなってしまいます。差し戻しになると、始めからやり直さなければならない場合が多く、余計な手間と時間がかかってしまいます。

ワークフローの問題を解消する必要性

以上のようなワークフローの問題を改善しないままでいるとどうなるのでしょうか。いずれの場合も、最終的に承認が通るまでに余計な手間や無駄な時間がかかってしまいます。それぞれの時間ロスが積み重なると、もっと大きなロスになってしまうのです。

また、ワークフローの時間ロスは、ビジネスチャンスの損失にもつながります。たとえば、顧客に提示する見積もりの承認などは、スピード感をもって処理しないと契約まで結びつく確率が低くなってしまうでしょう。このように、ワークフローを非効率なまま放っておくと、タイムロスが膨らみ、現代のスピードの速いビジネス社会では、一歩も二歩も出遅れてしまう可能性があるのです。

ワークフローを見直す際のポイント

ワークフローを改善しようとした際に、まずチェックしておきたいポイントや、改善方法について説明します。

承認者とその人数は適切か

まず、ワークフローが完了するまでに必要な承認工程と、承認する部署や担当者、その人数が適切であるかどうかを見直しましょう。承認工程が多すぎると完了するまでに時間がかかってしまい、承認できる人数が少ないと特定の人に承認作業が集中して、業務に支障が出てしまうでしょう。承認者が不在の場合にもワークフローが停滞してしまいます。

承認工程は必要最小限に絞り、各工程では業務の内容や状況に応じて、承認できる適切な人数を割り当てておく必要があります。また、「本当にその人が確認と承認をする必要があるのか」という視点からも見直しを行いましょう。その部署や担当者の承認がなくても業務上支障がなければ、思い切ってカットすることも必要です。

二重チェックが起きていないか

次に、ワークフローの承認工程において、無駄な二重チェックが起きていないかをチェックします。ミスが許されない重要な業務では二重チェックは必要ですが、すべての業務に必要なわけではありません。各工程で二重チェックを行っている場合は、本当にその作業が必要なのかどうか、二重チェックの目的と内容を明確にしておきましょう。

たとえば、前の工程で確認した人と次の工程で確認した人が、同じ項目を同じ観点でチェックしていたとすると意味がありません。二重チェックは異なる観点でチェックすることで効果を発揮するものです。この場合、承認工程ごとにチェックする項目を分けたり、チェックする観点を変えたりする必要があります。意味のない二重チェックはなくしましょう。

多くの社員が間違える箇所はないか

現状のワークフローの中で、多くの社員が間違えている箇所がないかを調査することも重要なポイントです。間違えが起こりやすいポイントや原因を調べて改善できれば、差し戻しを減らして、スムーズに決裁を完了できるようになるでしょう。たとえば、書類の記入漏れや記入ミスが頻繁に起きている場合、記入漏れが多い項目には注意書きを加え、記入ミスが多い項目には記入例を載せてわかりやすくするなど、書類のフォーマットを改善します。また、複雑な計算が必要で計算ミスが発生しやすいのであれば、社内規定を見直して単純化するといった、根本的な施策も必要です。

停滞しがちなプロセスがないか

最後に、ワークフロー中に待ち時間が発生しやすい工程がないかを確認しましょう。待ち時間が発生しやすい工程が見つかったら、その原因を調べて改善する必要があります。原因が承認者の外出や出張が多くて承認作業が滞ることであれば、代理で承認できる人を増やせば良いでしょう。

その他に停滞が発生しやすいのは、複数の書類がそろうのを待たないと、次に進めないプロセスです。作業の順番を変えたり、ワークフローそのものを考え直したりして、待ち時間を削る必要があります。また、ワークフローが一つの流れではなく、複数に分岐するプロセスも停滞が発生しやすくなります。処理が複雑になりがちで、ミスや差し戻しが起きやすく、時間がかかる可能性があるからです。なるべくシンプルなワークフローに改善できないかを検討してみましょう。

ワークフロー改善に役立つ「ワークフローシステム」

ワークフローを改善するためには、ワークフローシステムの導入が効果的です。ここでは、ワークフローシステムの一般的な機能や、問題解消に役立つ理由について説明します。

ワークフローシステムとは?一般的な機能

ワークフローシステムとは、コンピューターシステムにワークフローを組み込んで自動化したものです。紙の書類は必要ありません。パソコンやスマホ、タブレットなどのモバイル端末を利用してオンラインで処理できます。

ワークフローシステムの一般的な機能は、申請書の作成・提出、回覧、承認、書類管理です。対応業務の種類は導入するワークフローシステムによって異なりますが、備品購入、利用許可申請、経費精算、労務管理(休日取得、休日出勤、残業申請など)、営業管理(見積書、契約書など)会議議事録、その他、多くのテンプレートが用意されていて、自社用にカスタマイズできるシステムがほとんどです。

ワークフローシステムの利用方法

ワークフローシステムの利用方法も導入するシステムによって異なってきます。イメージしやすいように一般的な操作手順を以下に記載しておきましょう。まず、ワークフローシステムの利用者はシステムへの登録が必要で、予め、部署や権限(一般、承認者など)を設定しておきます。

申請者はパソコンやモバイル端末からワークフローシステムへログインします。申請書の作成は、業務メニューから必要な申請を選択し、必須項目を入力するだけです。「提出」操作をすれば、回覧先の部署や担当者が自動的に決定され、回覧も自動で行われます。提出した申請書は「申請一覧」に表示されるので、進捗状況が簡単に確認できるようになっています。あとは決裁が完了するまで待つだけです。内容に不備があって差し戻しになった場合は、修正して再度、回覧することが可能です。

一方、承認者がワークフローシステムにログインすると、承認操作が必要な申請の一覧が表示されます。申請内容を確認し、問題がなければ「承認」、問題がある場合は「差し戻し」や「却下」操作を行います。「承認」した場合は、自動的に次の回覧先へ回付され、最終承認者が「承認」することで決済が完了します。以上のように、ワークフローシステムを導入すれば、申請操作も承認操作も端末上で簡単に行えるようになるのです。

なぜワークフローの問題解消に役立つのか

ワークフローシステムを導入すれば、従来の紙の書類で業務処理を行うことに比べて、さまざまなメリットがあります。問題解消に役立つ点は以下の4点です。第1は「時間を短縮」できることです。ワークフローシステムは、申請と承認がオンライン上で完結するため、手間がかからずスムーズに決済を完了できます。申請に必要な書類を探したり、フォーマットの新旧を気にしたりする必要はありません。記入漏れ、計算ミスなどはシステムで自動チェックできるので、単純なミスでの差し戻しがなくなります。また、書類の郵送が不要になり、拠点が異なる部署でも回覧する時間はかかりません。申請から決済までの時間を大幅に短縮することができるのです。

第2は「社外からでも申請・承認が可能」なことです。クラウド型のシステムを導入すれば、社外からでも申請・承認操作が可能になります。承認者が出張や外出している場合でも承認操作が行えるため、ワークフローのよくある問題である「停滞する」状態が解消できるのです。自宅からでも申請ができるので、テレワークにも対応しています。

第3は「ワークフローを可視化」できることです。承認工程の進み具合が、パソコンやモバイル端末の画面で簡単に確認できるので、申請がいつごろ決済されるのかを、いつでもどこでも確認できるようになります。どこかの工程でワークフローが止まっていないかをチェックすることも可能です。ワークフローが可視化されることによって、次の作業を効率よく進めることにも役立ちます。

第4は「ペーパーレスでコスト削減」になることです。紙の書類が不要になるので、紙代、印刷代を節約できます。拠点がまたがるワークフローでも、書類を郵送せずに済むので郵送費もかかりません。さらに、紙の書類を保管する場所も必要なくなり、書類を整理する手間も省けます。このように、ペーパーレス化することで、さまざまなコスト削減につながるのです。

ワークフローシステムが会社にもたらすインパクト

ワークフローシステムが会社にもたらすのは、事務作業の小さな効率化に留まりません。ワークフローが公開されることによって、業務の属人化を防げるのです。属人化とは、特定の担当者しか作業手順がわからなくなっている状態のことを指しています。属人化した業務があると、担当者が病欠や退社してしまうと、やり方がよくわからなくて作業がストップしてしまうこともあります。

企業のなかには属人化した作業が多く埋もれていて、問題が発生するまで気付いていないケースも多いでしょう。ワークフローシステムを導入して、すべての業務をシステム上で行うように切り替えることで、属人化した業務を発見して解消することができるのです。

そして、企業にとって何よりも大きなインパクトはビジネスチャンスの創出です。ワークフローシステムの導入によって、本当に必要な書類や承認フローが明確になり、業務効率が向上します。社員が本来やるべき仕事に集中できることから、会社全体の意思決定がスピードアップされ、クオリティーも高くなるでしょう。新しい顧客を獲得し、ライバル会社の先を越すことも可能になるのです。

ワークフローの改善には大きな意味がある

以上のように、ワークフローを改善することで、大幅な業務効率化をはかれ、大きなメリットを受けられます。ワークフローを改善し運用していくために、ワークフローシステムの導入を視野に入れてはいかがでしょうか。クラウド型のシステムであれば、手間やコストを抑えて導入することが可能です。ワークフローシステムを導入して、ビジネスチャンスを広げましょう。

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