経費精算
公開 2021.01.04

交通費精算に領収書は必要? なくした場合の対応と経費精算の効率化の方法を紹介!

交通費精算をするとき、交通機関で発行される領収書が必要です。しかし通常、電車で普通運賃の切符を買ったときに発券機から領収書は発行されません。
今回は、交通費精算で領収書が必要な場合とそうでない場合について、また領収書を紛失したときの対応方法などを解説します。
経費精算全体をペーパーレス化して業務効率を図る方法もあわせてご紹介するので、参考にしてみてください。

領収書とは

領収書は、商品やサービスを購入し、その代金を支払った証となる証書のことです。
正式名称を「受取証書」と言い、民法では次のように定義されています。

『受取証書とは、弁済を受領した旨を記載した書面を指し、一般的には領収書やレシートなどが該当する。一部弁済の場合でも弁済した部分についての受取証書の交付を請求できる。また、判例では弁済と受取証書の交付は同時履行の関係にあるとされ、正当な理由なく受取証書の交付を拒否された場合、弁済の提供を拒否できる。』

引用:民法第486条

商品・サービスを購入者が受け取った代わりに、お金の支払いが行われたと言う事実を証明するものが領収書なのです。
尚、領収証という呼び方もありますが、領収書とはほぼ同じ意味合いを持ちます。

経費精算および交通費精算における領収書の必要性

経費精算とは、事業活動にかかった費用を従業員が建て替え、あとから事業経費として会社から従業員に払い戻しする一連の作業を言います。

従業員が何にいくら支払ったのか、それは本当に事業活動に関連する出費なのかを確認する際に、領収書が必要になってきます。
領収書は経費申請に係る証拠書類として、しっかり保存をすることも重要です。

また交通費精算においては、「当該交通費はどこからどの場所に移動する際の交通費か」「その交通移動の目的は事業活動に関わるものなのか」「どのような交通機関を利用し、いくら支払ったのか」などを証明するために領収書が必要になります。

領収書に必要な記載項目

領収書に記載必須の項目は、以下の通りです。

  • 書類名
    領収書と分かるように記載
  • 宛名
    社名や氏名など代金を支払う人の名前
  • 日付
    支払った年月日
  • 金額
    冒頭に¥マークを付け、3桁ごとに,を付けます。金額の末尾にはーを入れて金額の加筆改ざんを防止
  • 但し書き
    何を購入したのか、何に対して支払ったのか名称
  • 発行者情報
    サービスを提供する側の発行者名と住所、連絡先
  • 収入印紙
    5万円以上の支払いが発生した場合、領収書発行側が収入印紙を貼り付け

但し書きを「お品代」と省略したり、宛名を「上様」としたりする場合もありますが、正式名称を記載するのが原則です。お品代や上様だと、誰が何に支払いをしたのか曖昧になり、証拠証明としての効果を発揮しなくなるためです。

交通費精算の領収書が省略される理由

原則として、経費精算の際は領収書が必要です。しかし、消費税法においては「税込み3万円未満の場合、領収書の提出は不要」とされています。そのため、税込み3万円未満の少額の支払いに対する領収書は、経費精算の際に省略すると決めている会社もあります。
また、交通費精算で全ての領収書提出を求めると、膨大な枚数の領収書をチェックすることになります。たとえば、1人の営業社員が毎営業日、電車で外出していたとすると、1人分だけでも約20枚の領収書を提出しなくてはなりません。

そのため、正式な領収書提出の代わりに1か月分の交通定期券を買って領収書を1枚にしたり、ICカードを社員に配布して、ICカードの履歴を提出させたりするなど、領収書以外の方法で交通費精算を行う会社が増えています。

新幹線やタクシーの領収書について

短距離かつ電車移動の交通費精算では領収書を不要としている会社でも、長距離移動の新幹線や、高額となりやすいタクシー代に関しては、領収書の提出を求めるケースがあります。
新幹線やタクシーを利用した際の領収書の発行方法や再取得方法について確認します。

新幹線の交通費精算で領収書を取得する場合

新幹線の切符を係員のいる窓口で購入した場合は、その場で係員に領収書発行を依頼しましょう。
また、無人の発券機で切符を購入した場合は、領収書発行ボタンを押して取得します。
インターネット上で予約して発券機にて切符を取得する場合も、領収書発行ボタンを押せば領収書が取得できます。

新幹線には紙のチケットを不要とするチケットレスサービスがありますが、その場合はWebサイト上で領収書の発行手続きを行います。各社交通機関のWebサイトの案内に従ってください。

その他にも、金券ショップで新幹線の切符を購入できますが、金券ショップで領収書を発行すると原則として名称が「チケット代」と記されます。金券ショップで購入した場合でも、駅の窓口で領収書の発行をしてもらうことも可能です。

新幹線の領収書を発行し忘れた場合

新幹線の切符を購入した際に領収書を取得し忘れた場合は、再度窓口で係員に依頼すれば再発行が可能です。

乗車したあとに領収書をもらい忘れたと気付いた際は、降車後に改札口で申し出て、領収書を発行してもらいましょう。改札を出てしまうと切符が回収されて購入を証明できなくなってしまうため、領収書を発行してもらうことができなくなります。
また、乗車駅と降車駅の鉄道会社が異なる場合、領収書の発行ができない場合あるので注意が必要です。

タクシーの交通費精算で領収書を取得する場合

タクシーを利用した場合、基本的には料金支払い後の降車時に領収書を発行してもらうことができます。また、タクシー代を配車アプリでネット決済した場合は、メールにて領収書を受け取ることが可能です。専用のアプリを利用すれば、PDFで領収書をダウンロードできる場合もあります。
各タクシー会社によって領収書の取得方法が異なる場合があるため、詳細は利用したタクシー会社に確認しましょう。

参考 : Japan Taxi「WEBでの領収書発行について」

タクシーの領収書を発行し忘れた、もしくは紛失してしまった場合

タクシーで料金を支払い、降車したあとで領収書の取得を忘れたことに気づいた場合は、タクシー会社に問い合わせをすることで発行してもらえる可能性があります。タクシー会社に登録している法人の電話番号や配車依頼日時、乗車区間を詳細に伝えて、再発行依頼しましょう。
ただし、タクシーの領収書は経費の二重計上リスクの観点から領収書の再発行を義務としておらず、再発行の対応を嫌がられる場合もあります。インターネット上で再発行受付をしているタクシー会社はほとんどないため、基本的にはご自身で電話問い合わせをする必要があります。

領収書がないときの代用方法

交通費の領収書がない場合、旅費精算書や出金伝票などを領収書の代わりにすることが可能です。

これらの書類の記載項目や記載方法について説明します。

旅費精算書(交通費精算書)で代用

1つ目は旅費精算書(交通費精算書)などの社内書類を用いて、領収書の代わりにする方法です。

旅費精算書とは、出張や社員旅行でかかった経費などを精算するための書類です。会社によって運用が異なるため、旅費精算書と出張旅費精算書、交通費精算書などを一緒にしている場合と分けている会社があります。

旅費精算書に記載が必要となる主な項目は次の通りです。

  • 申請日
  • 氏名
  • 日付
  • 訪問先
  • 利用した交通機関
  • 出発地と到着地
  • 支払い金額
  • 片道か往復旅費か

旅費精算書を作成したあとは、直属の上司などから承認を受け、経理担当者へ提出する流れが一般的です。会社によっては、ガソリン代の申請についてもこの書類を使用するケースがあります。

「出金伝票」で代用

2つ目は出金伝票を領収書の代わりに利用する方法です。

出金伝票は経理担当者が作成する書類のひとつで、結婚式の祝い金や電車代などで領収書がない場合、また領収書を紛失した場合などに代用することができます。

記載が必要となる情報は次の通りです。

  • 申請日
  • 氏名
  • 使用する勘定科目
  • 支出内容
  • 支払い金額

出金伝票は経理担当者が仕分け作業を行う際に作成するため、勘定科目を記載する必要があります。出張の場合の勘定科目は旅費交通費を使用します。

摘要欄は備考欄と似たような意味を持つ欄なので、支出内容について細かく記載しましょう。主に、出発地や到着地、片道または往復の情報、移動の目的などを記載してください。

旅費精算書(交通費精算書)や出金伝票は、会社ごとに独自の書式を用意しているケースが多いです。そのため、領収書の代わりに利用する場合は各会社の経理担当者への確認が必要です。領収書がない場合の代替書類とはいえ、業務で移動したことを証明する書類として利用されることになるため正確に作成しましょう。

就活生の交通費は?

就活生や中途採用の候補者が、自社の選考に参加した際に発生した交通費を経費精算するかは、会社によって異なります。

一般的に、近場から来訪する採用候補者の交通費精算は不要ですが、遠方から泊りがけで来訪して選考を受ける場合は、会社が交通費を負担することが望ましいでしょう。

新卒採用、アルバイトパート、中途採用問わず、応募を促す観点から「面接の交通費は会社が全額負担」「面接参加者にはクオカード500円分支給」などの対応をする場合もあります。

採用候補者の交通費精算を会社が実施する場合も領収書が必要になるため、各候補者に領収書の取得方法や提出について案内すると良いでしょう。

面倒な交通費精算、経費精算業務を効率化する方法

出張や外出が多い営業職や、それらの経費処理を行う経理担当者にとって、交通費精算は手間がかかる面倒なものです。本章では交通費精算の業務を効率化するための事例をご紹介します。

(1)ICカードを活用する

Suica や PASMO など ICカードの履歴を領収書代わりに利用する方法があげられます。
ICカードの入出金履歴や、改札を出入りした記録は、各駅の券売機で印字印刷することが可能です。この印字書類を利用すれば、毎回料金やルートを調べる必要がなくなるため手間を省けます。

(2)経費精算システムを導入する

交通費精算の業務効率化をするためには、経費精算システムの導入が欠かせません。
経費精算システムを利用することによって、経理担当者が手作業や目視で行っていた金額の確認、領収書の記載内容確認や入力作業などを効率化することができます。

経費精算システムの仕組みとメリット

経費精算システムとは、経費精算の申請手続き全般をオンライン上で完結できるツールです。
交通費精算機能がついている経費精算システムを導入すれば、移動ルート検索や申請・承認作業などがボタンひとつで完結します。

毎回、社員の交通費が最短ルートで正しい運賃なのか確認をしたり、領収書が漏れている申請を差し戻ししたり、経費精算には細かい作業が多数発生します。

これらをペーパーレス、すべてオンライン完結できるのが経費精算システムのメリットと言えるでしょう。

スケジューラーと連携できる 「rakumo ケイヒ」 とは

経費精算システムの中でも、カレンダーや勤怠管理システムなどと連携して利用できる 「rakumo ケイヒ」 についてご紹介します。

rakumo ケイヒ」 は 「rakumo カレンダー」 というスケジューラーと連携することで、社員の外出予定情報から自動的に交通費を計算してくれるため、毎回電車ルートや料金を検索する手間が省けます。この機能は、NAVITIME の運賃・乗換情報と連携しているため、経路検索や費用計算も安心です。

また、社員の定期区間を交通費から自動で控除してくれる機能も魅力的です。忙しい現場の社員の手をわずらわすことなく、正しい運賃を算出して自動反映してくれます。

社員と申請承認をする上長、上長から経理担当者への申請依頼と確認などの毎月の作業も、可能な限り最小化できるため、手作業で交通費精算するよりも大幅に時間削減が期待できます。

交通費精算の領収書を正しく管理して効率的な経費精算をしよう

交通費精算の領収書を不要にしている会社は多いですが、経費精算の際には原則として領収書が必要であることを覚えておきましょう。

とくに、金額が高額となる新幹線での出張交通費やタクシー代などは、会社で領収書を求められる場合があるため取得方法の確認が必要です。経理担当者は、これらの領収書の運用方法や、旅費精算書・出金伝票を領収書の代わりとするのかルールを整備して、分かりやすく社員に共有しておきましょう。

ICカードの履歴を活用して交通費精算を行う方法も良いですが、経費精算全体を効率化できる経費精算システムの導入がおすすめです。日ごろの経理業務を効率化しながら、正確な作業を進めるために、ぜひ rakumo ケイヒ の導入も検討してみてください。

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