勤怠管理
公開 2020.04.30
更新 2026.07.29

フレックス導入にあたってコアタイムはどう設定すべき?労働時間の管理は?

働き方の多様化が進む現在、フレックスタイム制は単なる「時差出勤」の手段ではなく、優秀な人材を惹きつけ、生産性を最大化するための経営戦略へと進化しました。

しかし、「コアタイムをどう設定すればチームの連携が崩れないか?」「複雑な残業代計算をどう自動化するか?」といった運用面の課題に直面する担当者も少なくありません。

本記事では形骸化しないフレックスタイム制の設計図と、管理工数を劇的に減らすIT活用術を解説します。

フレックスタイム制度とは

フレックスタイム制度の導入を検討する前に、そもそも自社の業務に合っているのかまず考えてみる必要があります。

そのためには、フレックスタイム制度とはどのようなものか改めて理解しておいたほうがいいでしょう。ここでは、フレックスタイム制度の意味と、どのような業界に導入されているのか紹介していきます。

フレックスタイム制度は社員が勤務時間を柔軟に選べる制度

フレックスタイム制度とは、社員自身が出社時間と退社時間を自由に選ぶことができる制度のことで「フレックス制度」とも呼ばれています。

1987年の労働基準法改正に伴い、翌年の1988年から導入されるようになりました。通常、同じ業務であれば就業規則などで社員全員が同じ就業時間に決められているのが一般的です。

しかし、フレックスタイム制度の場合は同じ業務や部署内であっても、社員一人ひとりが自分の予定や業務の進捗状況に応じて就業時間を決められるという特徴を持っています。

出退勤時間については柔軟な選択が許されるものの、1日の労働時間については従来の「8時間」に縛られず、「清算期間内(例:1ヶ月)の総労働時間」を基準に、日々の長短を調整するのが本来の姿です。

広く導入されている業界

フレックスタイム制度と似た言葉で、変形労働時間制度というものがあります。

変形労働時間制度は、一定の期間を単位として労働時間を調整することで、特定の日または週に法定労働時間を超えて労働者を労働させることができる制度です。

例えば、繁忙期には1日9時間、閑散期には1日7時間働くという調整が年・月・週単位で設定でき、結果として総労働時間が短縮されることを目的としています。

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、変形労働時間制度を導入している企業は全体の59.3%でした。そのうち、フレックスタイム制を採用している企業は全体の6.8%となっています。

産業別でフレックスタイム制が採用しているのは、情報通信業や学術研究、専門・技術サービス業、製造業が多いとされています。これに対してフレックスタイム制度の導入があまり進んでいないのは、医療系や教育関連、建設業に飲食サービス業、宿泊業と言われています。

ただし、これらの業種はどれも就業時間が固定されているというわけではありません。変形労働時間制度自体は高い割合で導入されており、フレックスタイム制度の導入は少ないというだけです。

フレックスタイム制度のメリットと注意点

フレックスタイム制度のメリットは、少しだけ出勤時間をずらすことで社員が抱えている問題を回避できるという点にあります。

例えば、1時間ずらすことで満員電車を避け、ゆったりと座って通勤することも可能です。子育てをしている社員の場合なら、1時間早く退社できれば、子どものお迎えも余裕を持って向かうことができます。

スーパーマーケットでの買い出しなど、帰宅前に済ませておきたい用事にも十分時間をとることができるでしょう。ほかにも、家族や友人との時間を捻出しやすく、プライベートを充実させることもできます。

業務の面で考えても、さまざまなメリットがあります。例えば、客先への訪問や取引先との打ち合わせの際、相手の都合に合わせて業務時間外に働くという問題も解消できるでしょう。社員一人ひとりの業務状況や生活スタイルに応じて自由に出勤時間や退社時間を決めることができれば、そのぶんだけ時間に余裕ができて効率アップを図ることができます。

その反面、社内の人と勤務時間がずれてしまい、コミュニケーションがとりにくくなるという問題は出てくるでしょう。また、労務管理が複雑化しやすいという点に注意しなければなりません。

さらに昨今のトレンドとして、「リモートワーク」と組み合わせた働き方も増えています。自宅での集中作業と、オフィスでの対面コミュニケーションを使い分けることで、より高い生産性を実現できます。

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フレックスに関わる用語の意味を確認!

フレックスタイム制度について調べていると「コアタイム」と「フレキシブルタイム」という2つの用語を目にする人は多いでしょう。

この2つにはどのような意味があるのか説明していきます。

コアタイムとは?コアタイムを設定する意味

コアタイムとは「必ず出勤していなければならない時間帯」のことで、この時間帯には全社員が出勤することになります。

必ず設けなければいけないということではありませんが、たとえ出勤時間と退社時間がバラバラになっても、コアタイムでコミュニケーションをとったりミーティングを行ったりすることが可能です。

コアタイムには遅刻や早退があり、この時間帯に社内にいない場合には何らかの罰則を設けている企業もあります。

フレキシブルタイムとは

フレキシブルタイムは「働いていい時間」のことです。つまり、フレキシブルタイムの間であれば、自由に勤務時間を決められることになっています。

企業によってフレキシブルタイムの決め方はさまざまですが、例えば6時〜20時といった具合に幅を持たせて設定されているのが一般的です。

このなかで1時間休憩の8時間労働をする場合、10時に出勤して19時に退社してもよいということになります。夕方以降はプライベートにあてたいという場合は、7時に出勤して16時に退社することも可能です。

コアタイムの設定はどうすればいい?

では、全社員が必ず出勤していなければならないコアタイムはどのように決めたらいいのか説明していきます。

実はコアタイムの設定は自由

前述したように、コアタイムは必ず設定しなければいけないというものではありません。業種によっては、必ず全社員が勤務する時間帯をつくる必要性がない場合も出てくるでしょう。

必要がないのにわざわざコアタイムを設けるのは意味がありませんし、せっかくフレックスタイム制度を導入する意味が薄れるかもしれません。ですから、あえて「必ず全社員が会社にいなければならない時間帯をつくらない」という選択肢もあります。

また、コアタイムを設定する時間帯によっては、フレックスタイム制度を導入する意味をなさなくなる場合もあるので注意が必要です。例えば、これまでの始業時間と同じに設定してしまえば、朝の満員電車を避けられないといった問題が出てくるでしょう。

一般的にコアタイムはどのように設定されているのか

コアタイムを設けている企業のなかで以前は10時〜15時が主流でしたが、現在はより柔軟な「11時〜14時」など短時間のコアタイムや、特定の曜日だけコアタイムを設ける「特定日コアタイム制」を導入する企業も増えています。

この場合、コアタイムの時間帯は朝早い出勤時間とも言えませんし、退社時間が遅くなるという心配もありません。そのうえ、この時間帯であれば業務に就いている企業が多いため、連絡が取りやすく、取引にも支障が出ることはないでしょう。

実際にコアタイムを導入する際には、自社にとって必ず必要かどうかをまず考えることが必要です。そのうえで、設定するならどの時間帯にすればメリットが高いかなどを考慮するといいでしょう。

フレックスを始めるならこの2つは必須

フレックスタイム制度を採用するには準備が必要です。ここでは、フレックスタイム制度を導入するにあたってどのような準備をしておいたらいいのか説明していきます。

就業規則への明記

就業に関する規定は、就業規則へ記載し、管轄の労働基準監督署へ届け出なければなりません。これまでフレックスタイム制度を採用していなかった企業が新たに導入する場合は、必ず就業規則に盛り込む必要があります。そして、労働基準監督署へ届出を行ったうえではじめてフレックスタイム制度を導入できるようになります。

就業規則には、コアタイムの設定やルールについても明記しましょう。例えば、コアタイムは何時から何時までなのか、コアタイムに遅刻した際は何らかの罰則を設けるのかといったことも記載します。

フレックスタイム制度で重要なのは、社員自身が自分で勤務時間を決められるということです。ですから「出勤時間や退社時間の選択は、社員自身に委ねる」など、きちんと明記することが求められます。

労使協定の締結

フレックスタイム制度を導入する際、その基本方針について使用者と労働組合(または代表者)が書面による協定を締結することになっています。

この場合、考えておかなければならない項目はいくつかあります。まず、フレックスタイム制度の対象となる社員の範囲、そして労働時間、さらにコアタイムやフレキシブルタイムの設定も必要です。

コアタイムは、そもそも必要かどうか、そこからじっくり考えて決めるようにしましょう。ほかには、清算期間の起算日をいつにするか決め、さらに清算期間内の総労働時間なども決めておかなければなりません。

フレックスタイム制度における労働時間の扱い

勤務時間を全社員同じに固定しているケースとは違い、フレックスタイム制度によって社員が出勤時間を自由に選択できるようになれば、管理をするうえで考えておかなければならないことが出てきます。

ここでは、フレックスタイム制度の導入によって労働時間をどのように扱うべきか解説していきます。

フレックスタイム制度の労働時間の考え方「清算期間」

出勤時間や退社時間を社員自身が決められるといっても、全体の労働時間そのものを短縮することはできません。そのため、フレックスタイム制度には「清算期間」という考え方があります。

清算期間とは、総労働時間を達成しなければならない期間のことで、通常は1カ月で設定されているのが一般的です。ただし、2019年の法改正により、清算期間は最長3カ月まで延長可能となりました。これにより、月を跨いだ労働時間の調整(例:6月は忙しいので多めに働き、7月にまとめて休む)が容易になり、より高度な自己管理が求められるようになっています。

そして、この清算期間とは「所定労働時間」のことで、「法定労働時間」のことを指しています。法定労働時間では、週に40時間、1日に8時間までと決められており、その範囲内で勤務時間を選択できるということです。

有給休暇や残業は?

フレックスタイム制度を導入した場合も、有給休暇や残業について決めておかなければなりません。

有給休暇とは、「1日の標準労働時間」分を働いたとみなして休暇にあてることができる制度です。残業代については、法定時間外労働が発生した場合に割増賃金として支給しなければなりません。

フレックスタイム制度を導入する際でも、有給休暇や残業代など、通常の働き方と変わらない待遇を考える必要があります。フレックスタイム制度のルール作りをするにあたっては、さまざまな手当てが抜けることのないようにし、労働法に抵触しないよう注意しましょう。

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フレックスタイム制度は最初にルールを決めてしっかり管理!

フレックスタイム制度を導入することで、社員一人ひとりのワークライフバランスの促進を図ることが可能になります。全体の時間配分が無駄なくできるようになれば、業務効率をアップさせることもできるでしょう。

しかし、労務管理が複雑になるという問題も出てきます。複雑になった労務管理で困ったら、「rakumo キンタイ」のような便利なツールを活用すると管理が効率的になり、管理側の負担も軽減できるでしょう。

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