経費の種類を解説!正しく勘定科目を理解して経理業務のミスを減らそう
会社経営において、財務状況を正しく把握したり、節税対策を行ったりするうえで、経費を正しい項目に仕訳をして計上することは非常に重要です。経費には多くの種類が存在しており、各種類の項目を勘定科目と呼びます。
費用計上の際は費用の内容を正しい勘定科目に仕分ける必要があります。そのため、経費の種類やその勘定科目名を理解していないと、ミスが起こってしまいます。特に、経費の中でも、販管費及び一般管理費は項目の種類が多いため、各種類の名称や計上の注意点などを正しく理解しておきましょう。
なぜ経費を厳密に理解しなくてはならないのか
まず、経費とは「事業の売上のために使用した費用」のことを指します。会社を健全に経営していくためには、正しい会計処理を行わなければなりません。上述の通り、正しい勘定科目に仕分ける必要がありますが、誤った会計処理をしてしまうと、税務署の調査を受けることになったり、税負担を軽減できなくなったりします。会計処理では、正しい勘定科目に仕訳を行い計上することが求められます。また、税務署から求められた際に帳簿書類など提出できるように記録すること、さらに証拠となる領収書などの書類を保管しておくことが必要です。
以降では、適切な会計処理のために知っておくべき経費の種類や各経費の計上する際の注意点などについて解説します。
販管費及び一般管理費の種類
租税公課
租税公課とは税金のことです。多くの税金支出については、経費として計上することが認められています。たとえば、事業税や固定資産税などを支出した場合、その全額を経費として計上できます。ですが、すべての税金を経費計上できるわけではありません。経費として処理できない税金としては、所得税や法人税、住民税などがあげられます。また、延滞金や罰金などについても、税制上の経費である損金としては認められません。
水道光熱費
水道光熱費も代表的な経費のひとつです。事務所などで発生する水道光熱費は、全額経費として計上可能です。個人事業主の方などで自宅を仕事場としている場合などは注意が必要です。ビジネスでの利用とビジネス外での利用が混在している環境で発生した水道光熱費に関しては、事業に使用した分だけを分離して計上しなければいけません。
地代家賃
地代家賃は、事務所や店舗を賃借している場合に支払う賃料などのことです。事務所や店舗だけではなく、駐車場を賃借している場合も地代家賃として計上します。水道光熱費の場合と同様に、賃借物件をビジネス以外の目的でも利用している場合は、事業に使用した分だけを分離して計上しましょう。
給料賃金
従業員への給料支払いや、賞与や退職金支払いは給料賃金として経費計上できます。また、食事や被服などの現物支給についてもこの勘定科目で処理します。現物支給は内容によっては福利厚生費として計上できますが、個人的に与えられるものは、給料賃金での計上となります。
損害保険料
事務所の火災保険、社用車の自動車保険、会社で契約している賠償保険などの保険料は損害保険料という科目で経費計上が可能です。これらの保険料は、基本的には支払額全額を必要経費として計上することができます。ただし、長期契約の損害保険について契約期間中に受け取った返戻金は、一部または全部を「保険積立金」という勘定科目で資産計上する必要があることに注意しましょう。
交通費
交通費とは、主に近距離の業務に関わる移動の際に支出する費用のことで、例えば取引先への移動した際の支出などが該当します。公共交通機関を利用した交通費の他、タクシーの利用料金などが対象になりますが、企業ごとに「公共機関は最安ルートを利用」「タクシー利用は〇〇の条件を満たす場合のみ可」といった社内規定を設けている場合がありますので、それらを満たしているかどうかも確認が必要です。また、接待でタクシーを利用する場合も注意が必要です。接待を受ける側がタクシーを利用する場合は交際費として処理できますが、接待をする側が自分たちの移動でタクシーを利用する場合は交通費として計上することになります。
旅費交通費
旅費交通費は、会社の指示で通常の勤務地以外の場所で遠隔地に移動する際にかかる費用で、出張先でのホテル宿泊費なども含めて仕訳をします。基本的には、業務目的での移動・宿泊は全額経費計上が可能です。ただし、出張先で現地観光などをした場合は税法上の規定に則ってプライベートに該当する部分は除外し、残りを費用として計上しましょう。
また、旅費交通費は金額も大きくなりやすいため、交通費同様に社内規定を設けるケースがほとんどです。例えば、宿泊費の上限を設定したり、宿泊するホテルを限定したりするなどのルールが一般的ではないでしょうか。こうした社内規定からの逸脱がないかといった点もチェックして会計処理を実施しましょう。
荷造運賃
経費には、荷造運賃という種類もあります。荷造運賃は、製品や商品を出荷する際の梱包や発送にかかるトラックなどの輸送費用を指します。例えば、出荷梱包に必要となる段ボールやガムテープなどは、この勘定科目で仕訳をします。また、輸送費用については、旅費交通費ではなく荷造運賃で計上処理を行うよう注意しましょう。
通信費
業務に関わる電話代やインターネット接続料については、通信費として仕訳をします。また、郵便などで使用する切手代、宅急便などの送料も通信費で処理する費用になります。会社によっては携帯電話を支給されず個人の携帯電話を業務で使用する場合もあると考えられますが、そうしたケースではプライベートで使用した費用を除外し、業務として使用した分の費用を経費計上することが認められています。
支払手数料
支払手数料という勘定科目で処理できる費用の幅は広く、具体的には銀行の振込手数料、税理士・弁護士などへ支払う報酬、代引き手数料などの手数料を「支払手数料」として処理することができます。
ただし「手数料」という名称であってもすべての費用が「支払手数料」として計上できるわけではなく、販売手数料といった売上に直接関わる費用については「販売促進費」という別の勘定科目になる点に注意が必要です。
広告宣伝費
会社のイメージアップや商品の宣伝広告のために支出した費用は、広告宣伝費という勘定科目で計上します。雑誌やテレビへの広告だけでなく、看板、試供品などの支出についてもこの勘定科目で計上しましょう。ただし、広告宣伝費として計上するためには、その広告効果が不特定多数の人に対するものであることが条件となります。そのため、会社のイメージアップのために支出するものであっても、対象者が特定されている接待や贈答については次に紹介する交際費として取り扱う必要があります。
交際費
交際費は、得意先など事業関係者との飲食代を処理する勘定科目です。来客に対して提供する茶菓子代や贈答品代などについても、交際費で計上を行うことになっています。ただし、税法上損金として認められる交際費には上限があることには注意が必要です。たとえば、資本金1億円以下の企業の場合、年間交際費の上限は800万円とされています。さらに、飲食代については別の規定もあるため、税法を正しく理解したうえで会計処理を行うことが重要です。
修繕費
事務所や社用車、パソコンなどの修理代やエレベーターの定期点検などについては、修繕費で計上します。一方で、保有している資産の価値をさらに高めるための支出や使用期間を延長するような支出は資本的支出と呼ばれ、修繕費とは区別されます。たとえば、機械修理の際にグレードの高い部品に交換する、改造して機能を高めるなどの場合は、資本的支出に該当します。修繕費は固定資産の維持や修理のために使われる費用が該当するため、資本的支出との違いに注意しましょう。
また、修繕費と資本的支出は経費計上の期間が異なるという点に注意しましょう。修繕費の場合は、その年にまとめて費用計上します。しかし、資本的支出の場合は耐用年数に応じて減価償却をして費用計上することになります。また、資本的支出の場合は、支出内容に応じて勘定科目が決まります。
消耗品費
帳簿や文房具などの事務用品については、消耗品費として仕訳を行います。ただし、事務用品については「事務用品費」という勘定科目を使用することもあります。使用可能期間が1年未満のものや、1年以上であっても取得価額が10万円未満と少額のもので日常の業務活動で使用する備品類は、消耗品に該当すると認識しておきましょう。
減価償却費
前述の資本的支出を資産計上した場合、資産の耐久年数に応じて分割した金額を、毎年の費用として計上する必要があります。このときに使用する勘定科目が減価償却費です。耐用年数は、国税庁が品目ごとに定めているため、ホームページなどで確認して適正に償却計算をしましょう。
新聞図書費
事業に必要となる情報を得るために購入する雑誌代や書籍代、有料メルマガ料金などについては新聞図書費で費用計上します。これらの支出が新聞図書費として計上できるかどうかは、購入する情報源から得る情報が事業に直接関係あるか否かが判断のポイントです。業務に直接関係ない休憩室に設置する雑誌などについては、福利厚生費として扱います。
適切にミスなく経理業務を行うために
経理業務は専門的な知識が求められるうえに細かな事務作業も多く、ミスが発生しやすい業務です。
例えば、
- 費用の支払内容は同一だが、期によって勘定科目が変わってしまう
- 計上漏れ
- 二重計上
といったミスが発生しやすく、会社経営において正しい財務状況を把握できない恐れや税制上のメリットを受けられない可能性があります。
これらのミスを避けるためには、正しい知識を身に着けることが第一に重要です。加えて「繰り返しの事務作業は自動化する」といった仕組みの改善によって、ミスが発生しにくい環境を作っていくことも非常に大切です。 また、経費精算の対象者は経理担当者以外の従業員が大半です。経理業務の効率化には、従業員の経費精算の申請漏れや申請ミスが起こらないような規定と運用体制の整備も重要です。
◆ワークフローのメリットについて詳しく知りたい方はこちらの記事もチェックしてみてください。
経理業務のミスを減らすなら「システム化」がカギ!
経費の取り扱いや計上に関わるミスを防止するためには、経費精算システムを導入することが有効です。システム化を図ることによって、経理担当者の集計や分類・判断の負担を大幅に軽減することができたり、他従業員の経費精算の申請漏れや申請ミスを防ぐことができます。
経費精算システムを導入する際は、機器破損などによるデータ消失に備えられるクラウド型を選択することや、ほかの社内システムとの連携が可能なシステムを選択することなどもポイントの一つになるでしょう。
また、クラウド型のシステムである『rakumo ケイヒ』は経理担当者の集計・仕訳作業を効率化できることに加え、『rakumo カレンダー』と連携できるので、交通費がカレンダーから自動計算される機能を利用することも可能です。この機能によって、交通費の精算時の料金入力を間違えた状態で申請といったミスを防止でき、経理の確認・修正作業も短縮されます。さらに、勘定科目をカスタマイズ設定することも可能です。システム導入にあたっては、rakumo 製品の導入をぜひ検討してみてください。