北海道 網走市役所
- 業種
- 地方公共団体
- 規模
- 301人〜1000人
- 導入内容
- rakumo ワークフロー / rakumo ボード / rakumo コンタクト / rakumo カレンダー
紙ベースでの文書管理から脱却―紙の使用量が約3割減少し、申請・承認に関する業務効率とスピードも飛躍的に向上
課題
- 保管スペースやコスト面の課題があった紙ベースでの文書管理
- Google Workspace にはノーコード開発のワークフローや掲示板機能が非搭載
決め手
- 低コストでGoogle Workspace の機能を補完できる
- 大学など独立行政法人での利用実績があった
導入効果
- 紙の使用量が前年度比で約3割削減
- 申請・承認に関する業務効率とスピードが飛躍的にアップ
- 掲示板に投稿された情報の一覧性が高く、使い勝手も向上
- 会議室などの設備予約が容易に
北海道の東部に位置し、流氷をはじめ魅力ある観光資源にあふれる網走市では、紙ベースでの文書管理から脱却するべくGoogle Workspace とrakumo サービスを導入。電子化により紙の使用量が前年度比で約3割削減されたほか、申請・承認に関する業務効率とスピードの飛躍的な向上、円滑な情報共有、利便性の高い設備予約環境などを実現しました。今後はrakumo ワークフローの適用範囲拡大や、出張や外勤先など庁舎外からの利用も視野に入れているそうです。
新庁舎への移転を前に紙ベースでの文書管理が大きなネック
網走市の特徴を教えてください。
北海道 網走市役所 企画総務部 参事監 小松 広典 様(以下、小松 様) :
網走市は北海道の東部に位置し、オホーツク海に面している風光明媚な街です。冬季に漂着する純白の流氷をはじめ、秋になると真っ赤に染まる能取湖サンゴ草群生地、“北海道開拓と監獄受刑者”をテーマとした博物館 網走監獄をはじめ、オホーツク流水館・北方民族博物館・モヨロ貝塚館などの文化施設など、魅力ある観光資源であふれています。
大自然を存分に味わえる各種アクティビティや流水観光砕氷船おーろら、オホーツク海と4つの湖から獲れる豊富な魚介類もおすすめのポイントですね。オホーツクの空の玄関口として知られる女満別空港があることから、国内観光客だけでなくインバウンド需要も順調な伸びを示し続けています。
従来の環境と、その課題についてお聞かせください。
北海道 網走市役所 デジタル化推進室 参事 山縣 叔彦 様(以下、山縣 様) :
網走市役所は、2025年2月に新庁舎への移転を予定しています。この移転に際して、2021年9月に「関係人口創出/市民サービス/行政運営」の3分野にデジタルファーストで取り組む「デジタルファースト宣言」を掲げており、その中でも行政運営に関してはペーパーレスの推進、Web会議・テレワークの導入、AI・RPAなど先進技術活用の方向性が示され、2022年2月にはより具体的な「網走市 DX推進計画」が策定されました。
北海道 網走市役所 総務防災課総務係 主事 増田 由香 様(以下、増田 様) :
網走市役所では従来、起案から決裁、保管まですべて紙ベースで文書管理を行っていました。しかし新庁舎への移転および網走市 DX推進計画の策定をきっかけとして、業務効率化に加えて物理的な保管スペースや紙のコスト削減にもつながることから、文書の電子化を望む声が高まっていったのです。
庁内掲示板に関しては、2001年頃から使い続けてきたツールがありましたが、より多くの人が使いやすいものへの変更が求められていました。そのほか、地方公共団体の組織内ネットワークを相互に接続する行政専用のクローズドネットワーク「LGWAN(Local Government Wide Area Network)」内から、インターネット上にアクセスする不便さも課題のひとつでした。
山縣 様 :
自治体における情報システムは、マイナンバー利用事務系/LGWAN接続系/インターネット接続系という3種類の独立したネットワーク構成「三層分離」になっており、さらにその形態によって「α/β/β’」、近年検討が進められている「α’」という各モデルに分けられます。
このうち網走市役所のニーズを満たすには、β’モデルへの移行が必須でした。
クラウドネイティブで場所にとらわれない働き方の実現性、GIGAスクール構想からの横展開、外部人材からのアドバイスなどを総合的に判断した結果、新しい働き方を実現するための基盤として、「Google Workspace」を導入することに決定しました。
低コストでGoogle Workspaceの機能を補完できるのが魅力
rakumoサービスをお選びいただいた決め手についてお聞かせください。
北海道 網走市役所 総務防災課総務係 吉竹 優人 様(以下、吉竹 様):
網走市役所では2022年7月から、Google Workspace の導入に関する基本設計および小規模での実証を開始。2024年1月に本格稼働をスタートしました。しかしGoogle Workspaceの場合、文書の電子化や保管は可能でノーコード開発のワークフロー機能がないため、自分達の思い描く電子決裁が開発できないこと、各自の手動アップロードによる保管では、全庁で統一した文書保管ができないこと、フォルダ分けだけでは管理が困難、といった運用面での課題が生じます。
また、標準で掲示板機能がないことも問題でした。こうしたGoogle Workspace の弱点が補えるいくつかの製品・サービスを比較・検討したところ、rakumoさんのサービスがベストだと判断しました。
小松 様:
Google Workspace と rakumo ワークフローを組み合わせることで、効率的な電子決裁と文書管理が実現できそうでした。サービス単体で利用できるため、ランニングコストの面でも最良でしたね。また、Google Workspace と連携できる製品・サービスの中で、大学など独立行政法人での利用実績があったことも評価ポイントのひとつでした。
こうして網走市役所では、2024年1月にrakumo Basicパック 426IDを契約し、同年3月までに構築を完了。ワークフローなど実運用に向けた調整期間を経て、7月から本格稼働をスタートしたのです。
GASによる開発に加えて迅速かつ適切なサポートにも満足
導入時のエピソードについてお聞かせください。
増田 様 :
導入に際しては、rakumoさんに「GAS(Google Apps Script)」を用いた開発をお願いしました。これはrakumo ワークフローにおいて、各種申請書の鑑をPDF形式で自動作成し、各課のフォルダへ分別して自動保存してくれるものです。
また、文書番号の自動採番に加えてスプレッドシート上の管理台帳へ自動記入する、起案時に設定した保存期限を迎えた文書を自動廃棄する、といった機能も備えています。
小松 様:
導入にあたって難しかった点は、ワークフローの決裁ルートに入れる職位の設定ですね。Google アカウント上の職位と決裁上の役職が連動していないので、別途rakumoさんにCSVから紐付けする仕組みを作っていただき、解決しました。
北海道 網走市役所 情報政策課 課長 高橋 剛 様(以下、高橋 様)
メール環境については、LGWANのメールとGmailの両方を利用しています。各官公庁とは基本的にLGWANのメールでやり取りを行うため、ChromebookのGmail側にヘッダーを転送して確認し、送信は庁内の別端末でLGWAN側から行うといった使い方です。
北海道 網走市役所 情報政策課情報政策係 主事 石川 愛子 様(以下、石川 様)
Google Workspace とrakumoサービス、セキュリティ関連の庁内研修については、受講するユーザーの都合で選べるように対面とオンラインの両方で実施しました。また研修の様子を撮影した動画およびマニュアルは、庁内ポータル上で共有しています。
rakumoのサポートについてはいかがでしたか?
増田 様:
質問は主にチャット経由で行っていましたが、迅速かつ適切な対応で助かりました。また2月から6月までは毎週、現在も必要に応じてオンラインでの定期ミーティングを実施していただき、ユーザーとして非常に心強いです。
電子化によるコスト削減や業務の効率化・スピード化など
導入された後の反応や手応えはいかがでしたか?
増田 様:
電子決裁を導入したことで、紙のコスト削減につながりました。具体的には、導入月の7月時点で、前年度比で約3割の紙削減を実現できています。また、申請内容に不備があった際も上長の許可を得てすぐに修正できるため、申請・承認に関する業務効率が飛躍的にアップしました。
さらに、これまで庁舎が離れている部署は、各部署の担当者が決裁書類を個別に運んでいましたが、電子化後はその必要もなくなり、決裁スピードが向上しています。
北海道 網走市役所 総務防災課 課長 日野 智康 様(以下、日野 様)
電子化された当初、慣れるまでは決裁文書の確認に時間がかかったものの、現在では大幅なスピードアップが図れています。合議は係長以上の役職にまわすなど、権限や運用ルールが整理されてからはさらに使いやすくなっていますね。
本格運用の開始後はいくつか問い合わせもありましたが、マニュアルを順次改定していることもあり、スムーズな決裁環境が整ってきました。基本的には電子決裁が前提ですが、一部の建設工事関係をはじめ、契約書類や図面など添付資料が膨大になるようなものは対象外としています。
増田 様:
rakumoボードについては、庁内へのお知らせをはじめ、各課への調査依頼、グループウェア関連、財務管理関連などの周知に使っています。投稿権限は全員に与えられていますが、実際の投稿は各課の担当者が行っている感じですね。従来の掲示板と比べて情報の一覧性が高く、使い勝手も良くなりました。
石川 様:
スケジュール管理については、Google カレンダーとrakumoカレンダーのいずれかに固定しておらず、ユーザーの任意で使いやすい方を選んでもらっています。会議室などの設備予約を行う際は、rakumo カレンダーの方が見やすくて便利だという声が多いですね。
既成概念を捨ててこそ見えてくる新しい世界
今後のご予定やご要望についてお聞かせください。
山縣 様:
庁内にはまだrakumo ワークフローを使える承認系の業務が残っているので、徐々に適用範囲を拡大できればと考えています。また、現在はまだ庁舎内からの利用に限定していますが、ネットワーク構成的にGoogle Workspace とrakumoサービスはいずれも庁舎外からのアクセスが可能です。
「どこからでも仕事ができる」「クラウドネイティブなツールを有効活用する」「日々の業務をより楽にする」といった観点から、仕組みや運用ルールを整備した上で、将来的には庁舎外からも使えるようにしていきたいですね。
小松 様:
現在、多くの地方自治体ではオンプレミスのシステムを運用していますが、行政のクラウドシステム構築は時代の要請を受けたパラダイムシフトと感じています。
たとえば、MM総研がGIGAスクール構想実現に向けたICT環境について、2021年1月~2023年5月にかけて実施した調査では、汎用クラウドツールは、Googleが62%でトップとなっています。こうした環境で育った子供たちが近い将来世の中で活躍し始めることを考えれば、Google Workspace およびChromeOSをベースとしたシステム構築はより大きな意味を持つのではないでしょうか。
また、セキュリティの関係からβ’モデル自体を採用している地方自治体もまだまだ少数といえます。そうした中で、セキュリティをGoogleにお任せしてインターネット上でITを活用しながら業務が遂行できることは非常に有意義なことと考えています。
ありがとうございました。
(取材時期:2024年10月)
事例で利用されている「便利な機能」
rakumo ワークフロー
rakumo カレンダー
北海道 網走市役所
事業内容:地方公共団体
職員数:約364名(2024年4月1日現在)
*掲載内容は取材時点のものです。