
【Frontline Plus も登場】 現場従業員向けの 「Google Workspace Frontline」 とは?

現場の従業員と本部チームが円滑にコラボレーションを行えるようにデザインされた 「Google Workspace Frontline (フロントライン)」。
AI やセキュリティの機能が強化された Frontline Plus も新たに登場し、オフィスを離れて現場で働く人にとってますます便利なエディションに進化しました。
この記事では、 Google Workspace Frontline が デスクワーカー向けの Google Workspace と何が違うのか、どのような機能が搭載されているのかについて詳しく紹介します。
Google Workspace Frontline(フロントライン)とは
まず、Google Workspace Frontline の概要についてご紹介します。
Google Workspace Frontline の特徴
Google Workspace Frontlineは、現場の従業員と本部チームとのコミュニケーションとコラボレーションを促進するためのツールが提供されるエディションです。
Gmail、 Chat、ドキュメント、ドライブなどのコミュニケーションとコラボレーションに特化したアプリが提供されている点が特徴です。機能が絞られている分、価格は従来のエディションよりリーズナブルなので、現場で働く従業員を抱える企業にマッチしたプランと言えます。
また、高度なエンドポイント管理などのセキュリティ機能も利用できるので、個人の端末でも安全に利用することができます。
【利用可能なセキュリティ機能】
※エンドポイント機能は管理者向けの機能です。
- 高度なエンドポイント管理
組織のデータをより細かく管理。より安全なパスワードを必須にできるほか、デバイスのリモートワイプ、 Android での仕事用プロファイルの使用、iOS アプリの管理なども行えます。 - ドライブのログイベントデータ
Google ドキュメント、スプレッドシート 、スライド、フォーム、サイトでのユーザー アクティビティを確認できる。 - データ保護に関する分析情報レポート
機密データが含まれる組織内のドライブ ファイルに関する情報を確認できます。
なお、Google Workspace Frontline は利用できるユーザー数に制限はありません。
Google Workspace Frontline の想定ユーザー

Google Workspace Frontline は現場で働く従業員向けのエディションですが、下記のようなユーザーが想定されます。
【Google Workspace Frontline にマッチする働き方】
- 非デスクワーカー
- 現場間の移動が多い
- スマホなどのモバイル端末を利用して業務を行うことが多い
- 大量のデータを扱う機会が少ない
- パソコンは他の従業員と共有している
【Google Workspace Frontline にマッチする業種・職種】
- 製造業
- 運送業
- 農業、漁業、林業従事者
- 建設作業員
- 医療従事者
- レストラン、ホテル、小売業などの接客業
- 電話オペレーター など
Google Workspace Frontline 3つのプラン
Google Workspace Frontlineには、 Frontline Starter 、 Frontline Standard 、そして AI 機能とセキュリティが強化された Frontline Plus の3つのプランがあります。
新しく登場した Frontline Plus エディションは、既存の Frontline で提供されいている機能に加え、上位プランに匹敵する最先端のデータ保護と、業務効率向上をサポートする AI 機能 (Gemini 連携) が統合されています。
Frontline Plus の主な特徴は以下の2点です。
- 高度なセキュリティ機能
- AI による機密ファイルの自動分類、ホスト型S/MIMEによるメール暗号化、データリージョン選択、クライアントサイド暗号化 (CSE) で情報を保護
- セキュリティサンドボックスでマルウェアを検出し、高度なエンドポイント管理でデバイスセキュリティを強化
- Work Insights で利用状況を把握し、アクセス透明性で Google スタッフによるアクセスログを確認
- 便利なAI 機能 (Gemini 連携)
Frontline Plus ユーザーは、以下の AI 機能を活用し、日々の業務を効率化できます。- Gmail
AIがメールの下書き作成・洗練、サイドパネルでの要約や返信支援、スマートリプライを提供 - Google Meet
会議メモの自動作成、アダプティブオーディオ、AIによる映像・音声改善、翻訳字幕、背景生成で会議体験を向上 - Google Chat
サイドパネルで会話要約やアクションアイテム生成、自動翻訳でコミュニケーションを円滑化
- Gmail
Google Workspace Frontline で使えるアプリとサービスについて
Google Workspace Frontline の各プランで使えるアプリとサービスについて詳しくみていきましょう
Google Workspace Frontline で利用できるアプリケーション
Google Workspace Frontline は、下記のアプリケーションの利用が可能です。
アプリ | Frontline Starter / Standard | Frontline Plus |
---|---|---|
Gemini アプリ | ○ | ○ Gmail 、Chat 、 Meet のサイドパネルが利用可能 |
NotebookLM | ○ | ○ |
Gmail | ○ | ○ Gemini の AI 機能 (文章作成支援、サイドパネル、スマートリプライ) が利用可能 |
Google カレンダー | ○ | ○ |
ビジネス向け Google グループ | ○ | ○ |
ドキュメント エディタ (Google ドキュメント、スプレッドシート、スライド、フォーム、サイトを含む) |
○ | ○ |
Chat とチャットルーム | ○ | ○ Gemini のサイドパネル、 AI 機能 (要約や自動翻訳など)、組織外のユーザーとのダイレクト メッセージなどが用可能 |
Google ドライブ(5GB) | ○ | ○ ドライブの AI 分類 (機密ファイルの自動識別・ラベリング) が利用可能 |
Meet によるビデオ会議 (最大100人まで) | ○ | ○ Gemini のサイドパネルや AI 機能 (メモ作成支援、アダプティブオーディオ、スタジオ品質向上、翻訳字幕、背景生成) が利用可能 |
AppSheet Core | ○ | ○ |
Google Vids | 視聴のみ | 視聴のみ |
Google Workspace Frontline のプランごとのサービスの違い
さらに、 Frontline 3つのプランで使えるサービスの違いについて見ていきましょう。
機能/エディション | Frontline Starter | Frontline Standard | Frontline Plus |
---|---|---|---|
ユーザー数制限 | なし | なし | なし |
ユーザーあたりストレージ | 5 GB | 5 GB | 5 GB |
高度なエンドポイント管理 より安全なパスワードを必須にできるほか、デバイスのリモートワイプ、Android での仕事用プロファイルの使用、iOS アプリの管理なども行える |
○ | ○ | ○ |
ドライブのログイベント データ Google ドキュメント、スプレッドシート、スライド、フォーム、サイトでのユーザー アクティビティを確認できる |
○ | ○ | ○ |
データ保護に関する分析情報レポート 密データが含まれる組織内のドライブ ファイルに関する情報を確認できる |
○ | ○ | ○ |
エンタープライズ エンドポイント管理 会社所有デバイスを管理するための管理機能 |
× | ○ | ○ |
データ損失防止 (DLP) ルールを作成して適用することで、ユーザーが組織外の相手と共有できるファイルのコンテンツを管理 |
× | ○ | ○ |
コンテキストアウェア アクセス ユーザー ID、デバイスのセキュリティ対策、IP アドレス、位置情報などの属性に基づいて、 Google Workspace および SAML アプリケーションに対する詳細なアクセス制御ポリシーを作成できる |
× | ○ | ○ |
Cloud Identity Premium 企業向けセキュリティ、アプリケーション管理、自動デバイス管理を行う |
× | ○ | ○ |
Gemini AI のセキュリティ保護 AI を使用して、ドライブ内の組織の機密コンテンツにラベルを付ける |
× | × | ○ |
Gmail, Chat, Meet の Gemini AI 機能 サイドパネルでAI のサポートを利用できる |
× | × | ○ |
ホスト型 S/MIME S/MIME 標準を有効にして、受信メールと送信メールを暗号化する |
× | × | ○ |
ワーク インサイト 組織の Google Workspace の使用状況に関する詳細な指標にアクセスできる |
× | × | ○ |
データ リージョン 組織部門またはグループごとにデータの地理的な保管場所を選択する、レポートや監査を行うなどの高度な機能を利用できる |
× | × | ○ |
クライアントサイド暗号化 (CSE) ユーザーはドライブのファイル、メールなどに別の暗号化レイヤーを追加したり、クライアントサイド暗号化が適用されたアイテムを新規作成できる |
× | × | ○ |
セキュリティ サンドボックス 仮想環境でメールの添付ファイルをスキャンして、不正なソフトウェアやファイルを検出 |
× | × | ○ |
アクセスの透明性 Google スタッフによるユーザー コンテンツへのアクセスと、実施された操作のログを確認できる |
× | × | ○ |
外部ユーザーとチャット | × | × | ○ |
Google Workspace Frontline と従来のエディションとの違い
Google Workspace Frontline と、ビジネスエディションとの違いについて、表にまとめました。
Frontline エディション | Business エディション | |
---|---|---|
料金 | アカウント数により変動別途お問合せください | Business Starter 800円/月 Business Standard 1,600 円/月 Business Plus 2,500円/月 |
1ユーザーあたりのストレージの容量 | 5GB | Basic Starter プラン 30GB Business Standard 2TB Business Plusで 5TB |
独自ドメイン | 利用可能 | 利用可能 |
同一ドメインで別のエディションを併用 | 可能 ※Basic Starter プラン、Business Standard、Business Plus Enterprises と併用可能 |
不可 |
利用可能人数 | 無制限 | Business Starter Business Standard Business Plus ともに300人未満 300人以上の場合は Enterprise を利用 |
共有ドライブの利用 | 閲覧のみ可 | 利用可能 |
※料金は年契約時における月額料金
1つのドメインで別のエディションとの併用も可能
基本的に Google Workspace は、1つのドメイン (企業) で単一のエディションしか選択できませんが、 Frontline はデスクワーカー向けの Google Workspace のエディションとの併用も可能です。
例えば、デスクワーカーは Business Starter 、現場スタッフは Frontline というように、ユーザーによってエディションを使い分けることもできます。
ただし、 Frontline を導入する際は以下の定義に明確に限定されます。また、 Google の審査もあります。
検討の際には、弊社までご相談ください。
Google Workspace Frontline の注意点
Google Workspace Frontline はあくまでも現場の従業員のコミュニケーションやコラボレーションを目的として開発されたサービスなので、 Google ドライブの容量は5GB~と少なめです。ただし、 Google ドライブ上で個人ではなくチームが所有できる 「共有ドライブ」 の閲覧が可能です。
また、現在 Google Workspace に登録しているアカウントを Frontline エディションにダウングレードすることは不可となります。

Google Workspace Frontline の利用料金と申し込み方法
Google Workspace Frontline は、通常、従来の Google Workspace より低価格で提供されています。
アカウント数により変動するため、費用については別途お問合せください。
なお、 Google Workspace Frontline は、インターネットからのお申し込みはできません。 Google または販売代理店までお問い合わせください。
まとめ
現場で働く従業員の働き方にマッチした Google Workspace Frontline。
Google ドライブの容量は少なめですが、低価格で利用できる点は大きな魅力といえます。
現場社員とオフィスの社員間のコミュニケーションを円滑に行いたい、とお考えの企業はぜひ導入を検討してみてくださいね。