Google ドライブの共有設定ガイド 。組織と用途に合わせた最適な共有設定を行おう

Google ドライブは組織の情報共有やコラボレーションをサポートする重要なツールですが、共有設定を間違えると大きなトラブルを招く可能性も…。導入の際には、社内でルールを定めて運用を行うことが重要です。
本記事では、安全かつ効率的な Google ドライブの共有設定や、社内運用ルールのヒントを紹介します。
Google ドライブの共有設定、組織内でルール化できていますか?
業務効率化のために Google ドライブを積極的に導入してきたオコマリエステート。
Google ドライブはもはやオコマリエステートの業務と切っても切れないコアなツールになりつつありますが、どうやら導入担当者の布呂さんは運用面で課題を感じているようです。

システム管理者 : 城 資寿彦 (じょう しすひこ) さん
情報システム部
社内のシステム管理を担当している。
セキュリティ対策やネットワークに関する知識が豊富。

Google Workspace 導入担当者 : 布呂 真音美 (ぷろ まねみ) さん
事業推進部
Google Workspace の導入担当者。社内調整が得意。
現在は Google Workspace の活用を促すため社内セミナーや勉強会などを実施している。

城さん、ちょっといいですか?
最近、社内で Google ドライブの活用がすごく進んでいるのは良いんですけど、ちょっと気になることがあって…。

気になることというと?

色々な部署やチームで Google ドライブがかなり活用されているのですが、どのようなルールでファイルやフォルダを共有しているのか、正直ちゃんと把握できていないんです。
この前も、私のチームのメンバーが間違って社外秘の提案資料をうっかり社外に公開してしまいそうになって、ヒヤッとしたことがあって…。

Google ドライブは非常に便利なツールですが、共有設定を誤ると情報漏洩といった大きなトラブルにつながる可能性がありますね。
早急に社内で共有設定のルールを定め、周知徹底する必要がありますね。

何か良い対策はないでしょうか?

Google ドライブにはさまざまな共有設定の機能があり、組織のニーズに合わせて細かく設定できます。基本的な設定からより安全で効率的な共有方法まで、改めて確認してルール化していきましょう。

Google ドライブの基本的な共有設定

まずは大前提から!
Google ドライブにおける最も基本的な共有設定について見ていきましょう。
個別ファイル・フォルダの共有方法
Google ドライブは、共有相手に付与する権限を細かく設定できます。
【特定ユーザーとの共有方法(メールアドレス指定)】
- 共有したいファイルまたはフォルダを選択し、プルダウンメニューから「共有」を選択します。
- 表示されたダイアログに、共有したい相手のメールアドレスを入力し、「送信」をクリックします。相手に Google アカウントがない場合でも、メールアドレス宛に招待を送ることができます。
【閲覧者、コメント投稿者、編集者の権限設定】
共有相手を追加する際に、右側のプルダウンメニューから権限を選択できます。
閲覧者
ファイルの内容を見ることはできますが、変更やコメントの追加はできません。最終確認や情報共有に適しています。
閲覧者(コメント可)
ファイルの内容閲覧に加え、コメントの追加や提案が可能です。フィードバックやレビューの段階で活用できます。
編集者
ファイルの閲覧、編集、コメント投稿に加え、他のユーザーとの共有やアクセス権の変更など、ほぼ全ての操作が可能です。共同作業を行う際に利用します。
「有効期限を追加」 をクリックすると閲覧者が閲覧可能な期限を設定できます。

【一般的なアクセスの設定】
ファイルに対して、 「一般的なアクセス」 のプルダウンから共有リンクのアクセス制限が設定できます。
制限付き
アクセス権のあるユーザーのみが、リンクから開くことができます。
組織内限定
作成されたリンクは、オコマリエステートの Google Workspace アカウントを持つユーザーのみがアクセスできます。社内での情報共有に適しており、誤って社外にリンクが流出してもアクセスされるリスクを抑えられます。
リンクを知っている全員
作成されたリンクを知っている全てのインターネットユーザーがアクセスできます。社外の協力会社や顧客など、特定の相手に限定せず広く情報を共有したい場合に利用しますが、機密情報を含む場合は慎重な判断が必要です。

さらに共有ダイアログの下部にある 「リンクをコピー」 をクリックすると、共有リンクが生成されます。
アクセス制限は [一般的なアクセス] で設定した内容が反映されます。

【共有停止と権限変更の方法】
共有設定を変更または解除したい場合は、ファイルやフォルダを選択し、 「共有」 ダイアログを開きます。
共有相手の名前の横にあるプルダウンメニューから権限の変更またはアクセス権の削除ができます。共有を停止すると、相手はそのファイルやフォルダにアクセスできなくなります。


個別ファイルやフォルダを共有する際に注意すべき点はありますか?

ビジネスで Google ドライブの共有を行う際は、この点に気をつけましょう!
- 必要最小限の権限で共有する相手に本当に必要な権限のみを付与することで、意図しない編集や情報漏洩のリスクを抑えられます。例えば、編集の必要がない人には閲覧者権限のみを割り当てるなどが考えられます。
- 共有リンクの公開範囲を慎重に検討する特に 「リンクを知っている全員」 の共有は、リンクさえ知っていれば、誰でもアクセスできる状態になるため、意図せず第三者に情報が漏洩する可能性があります。そのため、この設定の利用は原則禁止することも考えると良いでしょう。
- 共有が不要になったら速やかに解除するプロジェクト終了後など、共有する必要がなくなったファイルやフォルダは、速やかに共有を停止する習慣をつけましょう。
共有ドライブも活用しよう

Google ドライブには共有ドライブもあると思うのですが、まだ一部でしか使われていないみたいなんです。もっと積極的に活用した方が良いのでしょうか?


共有ドライブはチームや部署での情報共有に非常に有効な機能です。ぜひ、社内でもどんどん活用したいですね。
改めて、共有ドライブについて詳しく見ていきましょう。
共有ドライブとは?

共有ドライブとは、 Google ドライブ内のチームやプロジェクトなど、個人ではなく特定のグループでファイルを共有・管理するための共有スペースです。
個人の 「マイドライブ」 でファイルを共有していると、担当者が異動したり退職したりした場合に、本人がマイドライブで共有していることを忘れていていたり、退職に伴うアカウント移行時の対応漏れなどで、ファイルが削除されてしまう可能性があります。でも、共有ドライブにファイルを保存しておけば、所有権が個人でなくチームのものになるので、そういった心配がなくなるんです。
さらに、共有ドライブ内でのアクセス権限も細かく設定できるので、必要な人に必要な情報だけを共有できるというメリットもあります。部署ごとやプロジェクトごとに共有ドライブを作成して、メンバーに必要なアクセス権限を付与すれば、より効率的に情報共有を進められますよ。
共有設定の違いについて以下に簡単にまとめました。
- マイドライブファイルやフォルダごとに共有設定が必要
- 共有ドライブ共有ドライブに設定されている権限が引き継がれるので、基本的に共有設定の追加や削除は不要

以前、担当者が変わった時に、必要なファイルがどこにあるか分からなくて苦労したことがありました。共有ドライブを活用すれば、そういう問題も解決できそうですね。
共有ドライブのメリット

共有ドライブを使うと、どのようなメリットがあるのでしょうか?

共有ドライブを使うことでこのようなメリットがあります。
チームでのファイル管理の一元化
関連するファイルを一つの場所に集約できるため、情報の散在を防ぎ、管理が容易になります。
所有権がチームにある
個人のアカウントに依存しないため、メンバーの退職時にもスムーズに業務を引き継げます。
アクセス権限の管理が容易
共有ドライブ全体および内部のフォルダに対して、アクセス権限を一元的に管理できます。
共有ドライブの使い方

共有ドライブの使い方を改めて説明していただけますか?

- まず、 Google ドライブの画面左側にあるメニューから 「共有ドライブ」 を選んで、 「新規」 から新しい共有ドライブを作成します。
- その後 「ユーザー」 のプルダウンを開いたら、共有したいメンバーやグループを追加して、それぞれの役割を設定すればすぐに使い始められます。

ありがとうございます! 全社的に共有ドライブの活用を推進しようと思います。
Google グループを活用した効率的な共有設定
複数のユーザーに対してまとめて共有設定を行いたい場合に便利なのが、 Google グループの活用です。
Google グループとは

あと、いままで思っていたのですが、複数のメンバーに対してファイルやフォルダの共有設定を行う際、個々のメールアドレスを1つずつ入力するのが結構手間なんですよね。
何か良い方法はないでしょうか?

そういう場合に非常に役立つのが、 Google グループの活用です。 Google グループというのは、複数の Google Workspace ユーザーを一つのグループとしてまとめることができる機能のことです。

グループというのは、どのようなものなのでしょうか?

Google グループは、複数の Google Workspace ユーザーをまとめて管理・連携するための機能です。
具体的には、以下のようなことができます。
- グループメールメンバーへの一斉送信が可能。
- 共有設定の一元化Google ドライブなどの共有設定をグループ単位で行える。
- アクセス管理の効率化メンバーの追加・削除だけで関連する共有設定が自動更新される。

共有設定の一元化もできるんですね! ぜひ活用していきたいです。
Google グループを利用した Google ドライブの共有方法

まずは Google グループの作成方法をみていきましょう。
※注:ここでは一般ユーザー権限での Google グループの作り方を説明します。ただし、管理者により一般ユーザーの作成が制限されている場合があります。
- Google アカウントでにログインし、 Google グループ にアクセスします。
- 左上にある 「グループを作成」 をクリックします。
- グループ名、任意のグループのメールアドレス、グループの説明を入力します。
メールアドレスはビジネス向けの Google グループの場合は独自ドメインを選択できます。設定が終わったら 「次へ」 をクリックします。
- プライバシー設定(グループの公開設定)を設定します。
- グループを検索できるユーザー誰がこのグループを見つけられるかを設定します。
- グループのメンバーを表示できるユーザー誰がグループのメンバーリストを見られるかを設定します。
- 投稿できるユーザー誰がグループにメッセージを投稿できるかを設定します。
- メンバーを招待できるユーザー誰が新しいメンバーを招待できるかを設定します。
設定が終わったら 「次へ」 をクリックします。
Google グループで社内秘の情報を扱う場合 「会話を閲覧できるユーザー」 を 「グループメンバー」 までにしておくと良いでしょう。
- グループを検索できるユーザー
- グループのメンバーを招待します。グループの管理画面からメンバーの追加や招待リンクの共有が可能です。設定が完了したら、 「グループを作成」 をクリックしてください。

これで設定完了ですね。
3で設定したメールアドレスを使えば、 Google ドライブなどでグループ単位で権限付与や削除ができるわけですね!

はい、その通りです。ぜひ Google グループの機能も活用してみてください。
組織の外部共有を管理する教育も重要!

Google ドライブの共有などについて一通り見てきて、すごく便利なことは理解できたのですが、うっかり社外の人に機密情報を共有してしまうリスクもありますよね。何か対策ってありますか?

外部共有は利便性が高い反面、情報漏洩のリスクも伴います。ですから、組織として外部共有に関するルールを明確にし、勉強会などを通じて社内で意識を高めていくことが非常に重要なんです。
まず、 Google ドライブでファイルを共有する際に、誰と共有しているのか、そしてどのような権限を与えているのかを常に意識することの重要性を理解してもらう必要があります。
誤って 「リンクを知っている全員」 に公開してしまったり、編集権限を与えてしまったりするリスクについて、事例を交えながら説明することが効果的でしょう。

確かに、あの共有リンクの種類って、最初はちょっと分かりにくいですよね。 「組織内限定」 と 「リンクを知っている全員」 の違いとか…。

なので、それぞれの共有リンクがどのような範囲でアクセス可能になるのか、具体的な利用シーンと合わせて丁寧に説明する必要があります。
例えば、社内のメンバーとの共有には 「組織内限定」 を使うのが基本であること、社外の特定の相手に共有する場合はメールアドレスを指定して共有するのがより安全であることなどを理解してもらうようにするのがいいですね。
ドライブ内のファイルとフォルダの外部共有をオンまたはオフにする方法

ちなみに、外部との共有自体を制限することってできるんですか?

はい、管理者側で組織全体、または特定の部署(組織部門)に対して、 Google ドライブからの外部共有を許可するかどうかを設定することができます。完全に禁止することもできますし、特定の信頼できるドメイン(例えば、取引先の会社など)とのみ共有を許可する、といった設定も可能です。
こちらは管理者の権限を持っているユーザーが 「管理コンソール」 から対応可能です。
- 管理コンソールの 「アプリ」 > 「Google Workspace」 > 「ドライブとドキュメント」 > 「共有設定」 > 「共有オプション」 を選択します。
「〇〇(組織名)の外部との共有」 の項目で、制限したいレベルを選択します。
オフ
組織内のユーザーは、組織外のユーザーとファイルを共有したり、組織外のユーザーから共有されたファイルにアクセスしたりできなくなります。これが最も制限の厳しい設定です。許可リスト登録済みドメイン
組織内のユーザーまたは共有ドライブがオーナーとなっているファイルは、対応する許可リスト登録済みドメイン内の Google アカウントと共有できます。オン
組織内のユーザーは、組織外のユーザーとファイルを共有できます。さらに、共有方法の詳細なオプションを設定できます(次のステップを参照)。レベルを選択したら、 「保存」 をクリックしてください。

許可リスト登録済みドメインのみ許可する、というのは良いですね! うちの会社でも、一部の取引先とは頻繁にファイルのやり取りがあるので、それ以外の外部への共有を制限できれば安心です。

利用するエディションによって制限はありますが、 Google ドライブのファイルが外部共有されているかどうかは、管理画面の 「ドライブのログイベント」 で確認することができます。この機能を使って定期的に確認してみるのも良いかも知れません。
また、費用はかかりますがサードパーティ製品を使用すれば、より簡単にチェックすることも可能です。
ビジター共有機能も利用可能

まだ Google Workspace を使っていない取引先も結構いるのですが、そのような取引先とファイルを共有する場合って、どうなるんでしょうか?

Google ドライブでは、 Google Workspace を利用していない相手とも、 「ビジター共有」 という機能を使ってファイルを共有できるんです。
「ビジター共有」 、は共有リンクを作成して相手に送ることで、ファイルにアクセスしてもらうことができます。共有リンクを受け取った相手は、メールアドレスを入力することで本人確認を行い、ファイルやフォルダを閲覧したり、権限によってはコメントしたり、編集したりすることが可能になります。


Google アカウントがなくても共有できるんですね! それは便利そうです。でも、セキュリティ面でちょっと心配な気もします。

ビジター共有の場合でも、共有する際の権限設定はきちんと行えます。閲覧のみ、コメント可能、編集可能といった権限を付与できますし、必要に応じて、共有期限を設定することもできるんですよ。
ビジター共有の詳しいやり方については、こちらも参考にしてみてください。
https://rakumo.com/gsuite/gws-hint/google-drive/visitor-share/
まとめ
オコマリエステートは Google ドライブの共有設定どうする?

オコマリエステートでは以下の点を中心に Google ドライブの共有設定に関するルールを整備していくことにしました!
- 基本的な共有設定のルールの明確化
個別ファイル・フォルダの共有における権限設定の原則(必要最小限の権限での共有、機密情報の閲覧者権限など)を定め、メンバーに周知する。 - 共有リンクの利用ルールの策定
共有リンクの公開範囲(組織内限定を基本とする、社外公開時の承認フローなど)に関するルールを定め、社外公開は慎重に行う。 - 共有ドライブの積極的な活用
部署やチームごとの情報共有には、共有ドライブを積極的に活用する。また、フォルダ構成の設計と運用ルールの整理を進め、アクセス管理の効率化を図る。 - Google グループの導入と運用ルールの策定
部署やプロジェクト単位での情報共有には Google グループを活用し、メンバー管理の手間を削減するとともに、アクセス権限の一貫性を保つ。グループの命名規則や管理者を明確にする。 - 外部共有に関するポリシーの策定と教育
組織全体のセキュリティポリシーに基づき、外部共有の可否、許可範囲、承認フローなどを明確化し、従業員に教育を行う。信頼できるドメインの設定も検討する。 - 定期的な見直し
設定された共有ルールが適切に運用されているかを定期的に監査し、必要に応じてルールの見直しを行う。

社内全体の情報セキュリティ意識を高め、より安全で効率的な Google ドライブの運用体制を構築していきましょう!
導入支援担当者からのワンポイントアドバイス
Google ドライブの共有設定は、組織の規模や業務内容に合わせて最適化することが重要です。
導入初期には、管理者側で共有ドライブの設定を行い、運用ルールの整理と社内教育を進めていきましょう。その上で、社内全体での理解が進みはじめた段階で、共有ドライブを作成できる対象範囲を徐々に広げていくのがおすすめです。また、 Google グループでの権限設定はグループへの共有を基本とすると良いでしょう。
Google ドライブは、ファイルサーバーの代替としての利用だけではなく、社内の情報共有基盤として活用が可能です。すべてのファイルが Google ドライブ上にあることで、検索性やアクセス性が高まるなどのメリットがあるからです。
もし、 Google ドライブ運用についてのお困りごとがあれば、 Google Workspace の導入支援パートナーなどの専門家のサポートを受けることも有効な手段の一つです。詳しくはこちらのフォームよりお気軽にお問合せください。
