東北大学病院放射線診断科

業種
医療/福祉
規模
51人〜300人
導入内容
rakumo カレンダー / rakumo API
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複雑なスタッフのアサイン業務を自動化―Google スプレッドシートによる調整をrakumo カレンダー と GAS利用で大幅効率化

課題

  • 多数のスタッフへ業務を割り振る予定調整が手作業に依存していた
  • 変形労働時間制という条件下でバランスの良い労務管理が難しい
  • Google Workspace の標準機能とGASだけでの完全自動化は困難

決め手

  • Google Workspace との親和性やAPI連携機能
  • 「ラベル」によるカテゴライズで自動割り振りが可能に
  • rakumo 製品は必要な機能だけを選べるためコストが抑えられる

導入効果

  • 週2日間かかっていた予定調整業務がわずか1時間ほどで完了
  • 各自がカレンダー上で予定を確認できるためスケジュール管理も容易に

東北地方における医療の要として最先端の医療を提供するとともに、地域医療を支え続けている東北大学病院の放射線診断科では、これまで手動で行っていたスタッフの予定調整業務を自動化するべく rakumo カレンダーを導入。週2日間かかっていた予定調整業務がわずか1時間ほどで終わるようになったほか、各自がカレンダー上で予定を確認できるためスケジュール管理も容易になりました。今後もより適切かつ効率的な労務管理の実現に向けた最適化を実施していく予定です。

東北大学病院放射線診断科 インタビュー

40~50名のスタッフへ業務を手動で割り振る予定調整が悩みの種

御院の概要についてお教えください。

東北大学病院 メディカルITセンター・放射線診断科 教授 大田 英揮 様(以下、大田 様) :
当院は、国立大学法人・東北大学に付属する大学病院です。1817年に創設された仙台藩医学校施薬所を源流としており、国内で歴史の長い大学病院の一つです。診療科数は医科・歯科を合わせて49科、病床数は1160床で、「先進の医療を優しさとともに」という理念の下、東北地方における医療の要として最先端の医療を提供するとともに、地域医療を支えてきました。また、厚生労働省から「特定機能病院」に指定されており、高度医療を安全に提供するだけでなく、高度医療の開発や研修をその使命としています。

従来の環境と、その課題についてお聞かせください。

大田 様 :
私が所属する放射線診断科の医師(放射線診断医)は、MRIやCT、PET-CTなどの画像検査の管理や、撮影された画像から病気や異常の発見・診断を行う画像診断、および血管撮影室におけるカテーテル治療を、主な診療として行っています。それぞれの検査・治療を行う部門が離れているため、業務場所が院内に点在しています。また、他の診療科との定期的な臨床カンファレンス、医学生の教育や大学院生の研究指導、会議なども大学病院・研究室内で行っています。院外では、地域医療をサポートするために、10ヶ所以上の関連病院に赴いて診療し、また遠隔画像診断も行っています。その他、学会などの出張業務も存在します。

こうしたさまざまな業務を40名以上のスタッフで分担しているのですが、実はこの割り振りが非常に大変なのです。私たちは、国立大学職員の労務規定によって通常の勤務時間が変形労働時間制で週38.45時間と定められています。一方、関連病院への診療は兼業として大学病院の業務外の時間を使って行わなければいけません。週末や夜中においても大学病院内、及び関連病院における日直・宿直業務があり、また、複数のスタッフが緊急対応をする必要がある場合に備えて、自宅待機のオンコール体制を構築しておく必要もあります。こうした中で、各スタッフの特質を考慮しながら、バランス良く大学病院内・院外の労務管理をしていくことが求められるのです。

東北大学病院 メディカルITセンター・放射線診断科 教授 大田 様

スケジュール管理においては、年間・月間・週間の単位で予定調整が必要になります。年間では主に学会出張や休暇の予定把握、月間では主に関連病院の勤務と週末・夜間の当番割り振り、週間では主に院内各部署への割り振りが必要になります。急性期の患者さんに対応する必要があるので、さらに短い時間単位での調整も必要になります。この中で、月間・週間の予定の組み立てが大きな課題でした.当科では従来、「Google Workspace」を用いて、共有のスプレッドシートに個人が予定を入力し、それを予定作成係が手動でコピー&ペーストしながら予定を割り振っていました。月間予定では、日付とスタッフ名、日付と関連病院名という2種類のスプレッドシート作成し、各自のスケジュール把握や関連病院への勤務予定通知などを行っていました。週間予定では、予め決まっている院内外業務や休暇を加味しながら、各検査室や外来、カテーテル治療担当などの院内配属を調整し、確認していく必要がありました。他診療科からの問い合わせや、患者さんの急変、臨時治療などの不確定要素には臨機応変に対応する必要がありますが、それも考慮したスタッフ配置表の作成に苦慮していました。

こうした課題を解決するべく、放射線診断科では各スタッフのスケジュール調整に加え、個人、及び部署毎の予定確認がしやすいようGoogle カレンダーに自動出力する仕組みの構築を検討開始しました。

「ラベル」でのカテゴライズや単機能で導入できるコストパフォーマンスが魅力

rakumoサービスをお選びいただいた決め手についてお聞かせください。

大田 様 :
スプレッドシート上における行列やセル内容の変換などは スプレッドシートのfunctionや「GAS(Google Apps Script)」を使えばできますが、個人の事情(休暇や割り当て可能な部署など)を加味した上で、アルゴリズムを加えてバランス良く業務を配分し、出力結果をGoogle カレンダーへ表示させるのは難しいと感じました。そこで注目したのがrakumo カレンダーの存在です。rakumo カレンダーはGoogle Workspaceとの親和性が高いだけでなく、API連携や「ラベル」によるカテゴライズが容易に行えます。たとえば当直や外勤の可否、院外は不可だが院内での遠隔画像診断は可能など、細かいラベリングを施すことで、自動割り振りが可能になるのではと考えました。そしてもうひとつ、rakumo カレンダーは単機能で利用できるのもポイントでした。複数機能が統合されたグループウェアと違い、rakumo 製品は必要な機能だけを選べるため、コストを抑えられるのがありがたいですね。

我々の要望をrakumoさんにお伝えしたところ、何度かの打ち合わせを経て、実現できそうだという感触が得られました。そこで2023年8月末にrakumo カレンダー 70IDを契約してトライアル&エラーを重ねながら、2024年3月より本格運用をスタートしたのです。なお、放射線科診断科で利用するユーザー分だけrakumo カレンダーの契約をしています。

週2日間かかっていた予定調整業務がわずか1時間ほどで完了

導入時のエピソードについてお聞かせください。

大田 様 :
システムの流れとしては、まず放射線診断科の各スタッフがrakumo カレンダーに必ず「日当直・当番NG」「外勤遠隔不可・院内可」「外勤遠隔院内不可」「外勤不可・遠隔院内可」といったラベル付きで個人の予定を入力します。例えば、日中の一部の時間にどうしても院内にいなければならない優先業務があり、その他は適宜割り振られても良い場合「外勤不可・遠隔院内可」のラベルを付与して、具体的な優先業務を個人が記載します。次に、共有のスプレッドシートである「予定管理シート」へ、関連病院からの派遣要請のとりまとめ情報を転記します。このスプレッドシート上から、GASで開発した「担当者自動割当」機能を実行すると、rakumo カレンダーのラベルを基準にスタッフへ業務が自動で割り当てられます。さらに「予定登録」を実行すると、共有スプレッドシートから各自のGoogle カレンダーに予定の出力が行われ、同時にrakumo カレンダー上でも予定が確認できるようになるという仕組みです。なお、スタッフ配置を俯瞰するための表も、全体を視認するには優れているので、それは上記のスプレッドシートから簡単に成形できるように自前でGASを組み込みました。

「予定登録」実行画面
GASで開発した「担当者自動割当」機能 実行後画面
スタッフ配置を俯瞰するための表

最初のうちは自動割り振り後に予定の重複などが生じてしまったため、GASの修正や、rakumo カレンダー側のルールに沿ってラベルの入れ方を工夫したり、書き方を徹底したりといった対策に苦労しました。その後、本格運用の開始から3ヶ月ほどでかなり落ち着きました。その都度細かく修正していただいた、rakumoさんの開発スタッフには大変お世話になりました。

導入された後の反応や手応えはいかがでしたか?

大田 様:
医療現場では臨時の対応が必要になることが多々あるため、完全自動化は難しいものの、rakumo カレンダーの導入を通じて、予定作成係と医局秘書の負担が大幅に減少しました。具体的には、1週間のうち約2日間かけて行っていた業務が、緊急調整を入れても1時間ほどで終わるようになったのです。rakumoさんに開発していただいた自動バランス調整の仕組みに加えて、当院でもGASを用いて出力されたスプレッドシートの成型および予定表の自動送信機能を追加し、さらに業務効率がアップしました。また、スタッフ側にとってもGoogle カレンダーやrakumo カレンダー上で自分の予定を確認できるため、特に各部署での診療以外の業務が多い方にとっては、自身のスケジュールが見やすくなっていると思います。

今後もより適切かつ効率的な労務管理の実現に向けた最適化を実施

今後のご予定やご要望についてお聞かせください。

大田 様:
従来と比べて、現時点でかなりの業務効率化が図れていますが、まだ予定作成係が共有スプレッドシート上において手動で微調整する作業が必要です。さまざまな条件を基に、トータルで外勤の行き先を平均化するなど、本当の意味でバランスの最適化を実現するには、今後さらなる改良が求められると感じます。ボタンひとつで割り振りを最適化でき、予定調整業務にかかる総時間を1週間あたり数十分程度まで減らせるのが理想です。

スタッフの予定調整は、どこの大学病院にも共通する悩みだと思います。病院の規模にもよりますが、一般的に週1回程度は外勤があると思いますし、曜日ごとに各スタッフが担う業務も違うため、課題に感じているケースは多いでしょう。今回のrakumoさんとの取り組みが、こうした大学病院における課題を払拭し、適切かつ効率的な労務管理を実現する鍵になれば嬉しいですね。

ありがとうございました。

(取材時期:2024年8月)

事例で利用されている「便利な機能」

rakumo カレンダー

 「予定種別」色分け表示
「予定種別」色分け表示

東北大学病院

事業内容:総合病院・大学病院

職員数:約3438名

*掲載内容は取材時点のものです。

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