第2回 働き方DXの第一歩は古い情報システムの断捨離
コロナ禍を経験して、多くの企業経営者は何年も前から提唱されていた 「働き方改革」 の重要性を再認識しました。従業員がいつでもどこからでも柔軟に働ける環境の整備は、事業継続性(BCP)の強化や従業員満足度(EX)の向上といった効果をもたらします。もちろん、業種によっては出社や対面が必須となるので、テレワークの推進だけが解決策ではありません。しかし、最先端のデジタル機器を活用した新しい働き方のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していくために、これまでの情報システムのあり方を再検討する必要があります。その第一歩が 「古い情報システムの断捨離」 です。
1995年に Windows 95 と Office 95 が登場してから、4半世紀以上が経過した現在でも、業務で使われている多くの PC に、Windows OS と Office アプリがインストールされています。文書作成に計算、そしてプレゼンテーションにとって、Word と Excle と PowerPoint は必須のアプリと考えられているので、家電量販店で販売されている多くの PC にも、最初から Office アプリがインストールされています。それに加えて、脅威を増しているサイバー攻撃から PC を守るために、エンドポイントセキュリティ対策も必須となってきました。しかし、こうした古典的な PC の使い方を考え直さなければ、限られた人数で全社の PC を管理している情報システム部門の負担は軽減されません。OS とアプリのしがらみを解放し、PC の断捨離を推進していかなければ、運用管理の軽減とセキュリティ対策の強化は両立できないのです。そのためのキーワードが 「クラウドサービス」 への移行です。個々の PC に必要なアプリをインストールして使うのではなく、すべての PC がクラウドサービスで文書作成や計算などの仕事をできるようにするのです。
そのクラウドサービスの決め手が、Google Workspace になります。Google Workspace を使うと、PC に Office アプリをインストールする必要がなくなり、Chrome などのウェブブラウザだけで仕事ができるようになります。また、セキュリティ対策の観点からも PC を Chrome だけで利用するようになれば、マルウェアに攻撃されるリスクも減少します。詳しくは、連載の後半で解説しますが、最新のセキュリティ対策では、いかに PC でアプリを実行しないようにするかが、安全性の確保にとって重要視されているのです。
全社員と情報システム担当者にとっての働き方 DX を推進するために、この連載を通して古い情報システムの断捨離の必要性を実感してもらいたいと願っています。