第10回 社員トランスフォーメーションは Google Workspace から

経済産業省が提唱しているデジタルトランスフォーメーション(DX)推進において、もっとも重要な役割を担うのは、最先端のデジタル技術そのものではなく、デジタルの利活用に長けた人材になります。経済産業省がまとめた 「デジタルスキル標準」 によれば、DX 推進では5タイプの IT スキルが求められています。

※出典 経済産業省 「デジタルスキル標準」 を取りまとめました!」
これらの人材は、DX の導入にとって必須のスキルですが、実際の推進や運用においては、構築された DX を使いこなせる社員の IT スキルも求められます。その IT スキルを育てて、DX を使いこなせる社員を少しでも多くするための取り組みが、日々の業務での 「クラウド + モバイルデバイスの利活用」 になります。
考えてみてください。「Windows の操作を覚えて Word や Excel を使う」 という技能も、25年以上前には最先端の IT スキルだったのです。
しかし、 Windows + Excel という働き方は、 「紙とペンと電卓」 をパソコンに置き換えただけのデジタル化でした。そのため、 Excel を使っている人たちの頭の中が、DX に求められる 「デジタルな思考」 にまで到達していないケースが多いのです。その一方で、これからは物心ついたときからスマートフォンやタブレットに慣れ親しんできた世代が、社会人になってきます。デジタルネイティブという新しい世代とベテラン社員の知識と経験を効率よく効果的に融合し、真の DX や次世代の働き方を実現していくためには、 「クラウド + モバイルデバイスの利活用」 を実践できる Google Workspace を活用した IT スキルのトランスフォーメーションを実践していく必要があるのです。
なぜ、Google Workspace への転換が社員のトランスフォーメーションになるのでしょうか。その顕著な例が、 Google スプレッドシートのツールバーに現れています。

このツールバーを見て、何か気がつくでしょうか。
そうです 「保存」 というアイコンがないのです。Google Workspace のアプリは、すべてのデータをクラウドで処理しているので、Excel のような 「保存」 という操作が必要ないのです。「大切なデータは保存しなければ失われてしまう」 と教わってきた四半世紀前のパソコン世代にとっては、想像できないデジタルトランスフォーメーションといえるでしょう。そのうえさらに、Google Workspace はクラウドネイティブを象徴するサービスなので、専用アプリをインストールすれば、スマートフォンでも Google スプレッドシートを編集できます。

パソコンに保存(=所有)しているファイルを編集するのではなく、クラウドにあるスプレッドシートをさまざまなデバイスから開く(=利用)という使い方の変化は、まさにデジタルトランスフォーメーションに向けた意識改革の第一歩なのです。
さらに、Google スプレッドシートでは、クラウドで共有されたスプレッドシートを複数のユーザーが、リアルタイムで編集できます。

この画面は、実際に Google スプレッドシートを複数のユーザーで編集している例になります。画面左上のA1セルにある青いカーソルは、スプレッドシートのオーナーの操作位置になります。その右側にある赤いカーソルは、共有を許可した他のユーザーの操作位置になります。共有されたユーザーが、セルを編集するとリアルタイムで内容が変わったり、幅や高さに装飾なども反映されます。このリアルタイムな共同編集と、 Google Meet を組み合わせたオンライン会議を開催すれば、会議室に集まることなく予算編成や企画作成などの共同作業をスムーズに進行できます。
手元のパソコンに保存した Excel のファイルを複数の関係者にメールに添付して送る、といった伝言ゲームのような共同作業が、Google スプレッドシート + Google Meet によって、スムーズでスピーディーなコラボレーションへと進化します。こうしたクラウドサービスの利用体験を積み重ねていくことが、結果として 「クラウド + モバイルデバイスの利活用」 を加速して、DX 推進を支える社員トランスフォーメーションにつながるのです。